安倍晋三首相は新型コロナウイルス特措法に基づき緊急事態宣言を出した7都府県の全事業者に対し、在宅勤務を原則とし、出勤者を最低7割は減らすよう求めた。

 「緊急事態を1カ月で終えるためには最低7割、極力8割の人と人の接触削減を、何としても実現しないといけない」と強調した。

 感染拡大に危機感をあらわにした形だ。通勤者の減少が十分でないとして、在宅勤務要請の徹底を関係省庁に指示した。

 人との接触を減らすのが、今のところ拡大阻止の最も確実な方法であることは間違いない。

 だが呼び掛け方や手法はこれでいいか。「7割」の根拠は示されておらず、唐突に言われても、すぐに在宅勤務に対応できないところも多いのではないか。

 要請後初の平日となった13日、東京都内の駅前やオフィス街では「休めない」「テレワークは難しい」とマスク姿で会社に急ぐ人々の姿が見られた。

 企業活動への影響は大きい。8割の接触制限とともに、なぜ7日の会見で説明しなかったのか。

 要請だけで、負担を事業者に押しつけてはならない。特に中小の事業者などには、在宅勤務に必要な機器導入の補助といった支援策を急ぐべきだ。

 首相はまた、7都府県に向けた繁華街への外出自粛要請を全国に拡大する方針も表明した。都内の飲食店などから従業員や客が地方に移り、感染を広げる「抜け穴」になるとの危機感からだ。

 対象にはバーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスを挙げるが、明確ではない。

 しかも、地方の繁華街では既にクラスター(感染者集団)発生が複数報告されている。

 対応が後手後手に回り、あいまいな要請が小出しになっている感は否めない。

 政府は休業補償に否定的だが、何らかの支援は必要だ。

 緊急経済対策で創設する、自治体向けの臨時交付金1兆円の使途について、政府は都が支給する「感染拡大防止協力金」のような活用を検討するとした。

 必要なら交付金の増額も考えるべきだろう。さらなる財源確保が求められるのは必至であり、大胆な予算の見直しも避けられないのではないか。

 今は爆発的な感染拡大が起きるかどうかの瀬戸際であり、あらゆる対策が必要だ。それには、国民に納得して協力してもらえる姿勢がなくてはならない。