さなぎになる直前の幼虫を成虫に育てる装置(滋賀県守山市三宅町・市ほたるの森資料館)

さなぎになる直前の幼虫を成虫に育てる装置(滋賀県守山市三宅町・市ほたるの森資料館)

装置の中で羽化したゲンジボタルの成虫

装置の中で羽化したゲンジボタルの成虫

 季節外れのゲンジボタルを飛ばす試みに、滋賀県守山市ほたるの森資料館(同市三宅町)が一昨年冬から挑んでいる。ホタルが住む川の環境を再現した装置で幼虫を育て、昨春に続き今春も通常より2カ月半ほど早く成虫となった。飼育法の確立は道半ばだが、同館は「取り組みの成功は前例がなく、生態解明や観賞時期の延長につながる」としている。

 試みは、地元のホタル研究家・故南喜市郎さんの仮説が下敷きとなっている。著書「ホタルの新しい室内飼育法-恒温水槽法」によると、自然界に似せた箱庭で生育環境を整えれば季節外れのホタルを飛ばすことができるという。
 同館は、大量のホタルを人工飼育する技術と経験を持つ。南さんの研究の検証も兼ねて2018年12月に実験を開始。まず、さなぎになる直前まで育った幼虫約30匹を、成虫に羽化させる装置に入れた。装置内の温度は成虫になる5月下旬の24度に設定。3カ月後、さなぎを経て、例年より2カ月半早く成虫10匹が地中から姿を現した。やがて1組のつがいができ、約20個の卵を産んだが、結局かえらなかった。
 2年目の試みでは、今年3月に8匹の成虫が羽化し、2組のつがいから約50個の卵が産まれた。現在は卵がかえらなかった初年の教訓を生かし、温度調節の徹底と卵を入れた虫かごの清掃をこまめにしている。今月下旬のふ化を期待している。
 実験を進めてきた同館の指定管理者「NPO法人びわこ豊穣の郷」古川道夫理事は「取り組みは50%程度達成した」といい、「無事に卵がかえってほしい」と日々注意深く観察している。