NISSHAが新たに供給を始める医療従事者向けのフェースシールド

NISSHAが新たに供給を始める医療従事者向けのフェースシールド

工業用アルコールの増産を手掛ける宝酒造の松戸工場(千葉県松戸市)

工業用アルコールの増産を手掛ける宝酒造の松戸工場(千葉県松戸市)

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で深刻な品薄が続く医療資材の開発・供給に、京都のものづくり企業が相次いで乗り出した。技術や生産網などの経営資源を生かし、医療現場を物資面で支援する。京都府も医療資材の安定確保を図る新たな需給調整の枠組みを作り、運用を始めた。

 NISSHAは15日、医療従事者の顔面を保護するフェースシールドを独自に作り、受注予約を始めたと発表した。吐息でも曇りにくくする加工を施した透明のプラスチックに、頭部への装着具を取り付けた。今月中に供給できる見通しで、国内や欧米の医療機関に供給する。

 医療用フェースシールドは、患者などの飛沫(ひまつ)が顔に付着するのを防ぐ道具。コロナ禍に伴う需要の急増で医療用マスクなどとともに備蓄が不足する医療機関が続出している。

 NISSHAは樹脂成形やフィルムのコーティング技術を持ち、2016年には米国の医療用器具メーカーを買収。グローバルな生産・調達網や販売網を生かせるとして、商品化を決めた。当面は中国や米国で生産し、国内10万枚、海外7万枚の供給を目指す。

 酒類大手の宝酒造(京都市下京区)が同日発表したのは、工業用アルコールの増産だ。手指用の消毒液が全国的に不足する中、国の要請なども踏まえて消毒液の原料として供給する。

 新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関や高齢者施設などで消毒液が慢性的に不足。これを受けて厚生労働省は高濃度の工業用エタノールを消毒液として代替できる見解を示し、消毒液が不足する都道府県に優先供給する仕組みも整えた。

 宝酒造は主力の松戸工場(千葉県松戸市)と白壁蔵(神戸市)で工業用アルコールの増産を始め、酒類用の生産とともに現在はフル操業で対応。18リットル入りの缶で月約5千本(9万リットル相当)を供給する体制を整備した。

 医療資材が枯渇しかねない状況に危機感を募らせる京都府も、製品の確保や病院間での融通調整を担う「医療資材コントロールセンター」を新たに庁内に立ち上げた。品薄が続くマスクや防護服、消毒液などの調達や配布を府が差配し、需給を調整する役割だ。

 センターは各医療機関の在庫を把握し、メーカーから一括調達した資材を配布。ものづくりに強みを持つ府内企業に対し、代用品の開発も依頼していく。