日本の総人口は縮み続けるのに東京への一極集中が止まらない。

 総務省が公表した昨年10月1日時点の人口推計で、外国人を含む総人口は1億2616万人だった。9年連続の前年割れで、減少数の27万6千人は比較可能な1950年以降で最も大きいという。

 人口が増えたのは東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)と滋賀、愛知、沖縄の7都県にとどまる。安倍晋三政権は看板政策に「地方創生」を掲げてきたが、東京圏の人口割合は29%へと集中がむしろ進んでいる。

 そこに新型コロナウイルスが襲いかかり、東京を中心とする感染者の急増と活動制限によって社会・経済の停滞が懸念されている。顕在化している一極集中のリスクを見つめ直さねばなるまい。

 目に付くのは地方から東京圏へ人口流出が進んでいることだ。

 増加した7都県で出生数が死亡より多い自然増は沖縄だけで、他の東京圏などは人口の流入による社会増が自然減を上回った。

 政府は、地方創生策で中央省庁の地方移転や企業の本社移転などを打ち上げたが、ほとんど進まず掛け声倒れだ。若者らの東京圏への流入はさらに拡大し、昨年は転入超過が14万人を超えた。

 地方も移住者誘致に努めるが、進学、就職先だけでなく情報や文化、娯楽も集まる首都の吸引力との差を埋めがたい現実がある。

 高い人口密集は新型コロナ感染の急拡大を招き、東京圏4都県で国内感染例の半分近くを占める。一極集中の危うさを浮き彫りにしている。

 緊急事態宣言の下、外出や移動の制約、休業や「出勤者7割減」など国内中枢での経済活動の収縮は、日本経済に甚大な影響を及ぼし、各地にも深刻な打撃を与えかねない。

 さらなる感染増や活動制限に備え、地方にバックアップ機能を整えることは社会の維持や事業継続ができるかを左右する。想定される首都直下地震や富士山噴火の被害を抑える上でも、思い切った機能の分散化を進める契機にしたい。

 地方の働き手確保も課題だ。全国で15~64歳の生産年齢人口は7507万人、全体の59・5%と最低を更新する一方、外国人は最多の243万人に伸び、農林漁業やものづくりの現場を担っている。

 だが、新型コロナ対策で外国人技能実習生の入国が規制されるなど、地域産業への影響が懸念される。人口減社会の支え手をどう補うか抜本的検討が避けられない。