「大恐慌」への不安が頭をよぎるような予測だ。抜け出せる道はあるのだろうか。

 国際通貨基金(IMF)が2020年の世界経済の実質成長率がマイナス3・0%に落ち込むとの見通しを発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響である。

 成長率のマイナスはリーマン・ショック後の09年以来だが、これを上回る景気後退になりうる。

 外出制限や職場閉鎖で経済活動が停滞している。IMFは過去の景気後退とは「著しく異なる」という。影響の長期化が心配だ。

 感染を終息させることが特効薬なのは確かだが、その道筋は見えていない。あらゆる政策を総動員し、経済的に困窮する人々を救済しなくてはならない。

 成長率の低迷は全世界に及ぶ。米国はマイナス5・9%で第2次大戦後の1946年以来の落ち込みとなる。中国は76年以来の1・2%の低水準にとどまる。ユーロ圏はマイナス7・5%の予想だ。

 日本はマイナス5・2%で2009年(マイナス5・4%)と同水準となる。歴史的な厳しさだ。

 終息が遅れれば、失業率が5%超に達する恐れがあると予測する民間エコノミストもいる。

 企業倒産を防ぎ、雇用不安をやわらげねばならない。実情に即した有効な対策が求められている。

 経済悪化からの出口が見いだせないのは、どの国も回復のけん引役になれる見込みがないためだ。

 感染拡大で都市封鎖などが続く米国は、失業保険の申請件数が直近3カ月で1600万件を超える事態だ。リーマン・ショック後に巨額の財政出動で世界経済を引っ張った中国も、海外で中国製品の需要が悪化し、余力に乏しい。

 各国は大胆な金融緩和に加え、計8兆ドル(約860兆円)もの財政出動に踏み切るというが、この間に失われた需要を穴埋めできるかどうかは見通せず、時間稼ぎにすぎないとの見方もある。

 IMFは、今年後半に感染拡大に歯止めをかけられれば、来年は5・8%成長に急回復するとの試算も示すが、「不確実性は非常に大きい」とも説明している。

 終息が遅れ、来年再び感染が広がる場合には、2年連続のマイナス成長に陥る恐れもあるという。

 現在の苦境をしのいでも、所得低下による消費冷え込みが続くことが予想される。景気停滞が長びくことは避けられまい。

 長期的視点で経済の行方を見通し、実効ある手を打てるのか。各国政府の対応が問われる。