冬は熱かんした日本酒がうれしい。京都の酒造米「祝(いわい)」を使った日本酒の人気が高まっているが、醸造に欠かせない酵母も京都オリジナルが注目されている▼酵母は糖をアルコールに変えるとともに、日本酒独特の複雑な香味成分も作る。かつては酒蔵ごとに異なる「蔵つき」の酵母で日本酒が造られたが、品質は安定しなかった▼明治時代に国の試験所が各地から酵母を集めて選抜し、全国で使われるようになって品質が向上した。近年は地酒ブームで各自治体も独自の酵母を開発している▼工業研究所の時代から酵母を集めている京都市産業技術研究所(京都市下京区)も京都ブランドの酵母を開発して2004年から酒造会社に頒布しており、現在は四つのブランド酵母が府内で使われている▼ユニークなのが酵母「京の珀(はく)」。こくとなるコハク酸をたくさん作り、熱かんにすると味わいが深い。熱かんを狙った酵母は他に例がないが、「日本酒のおいしい飲み方を知ってほしいという執念です」と研究主幹の廣岡青央さんは語る▼最近は冷やが主流になったが、「先入観のない海外の方は、試飲で熱かんをおいしいといってくれます」と次席研究員の清野珠美さん。和食には日本酒が合う。ゆっくりかんをして、たしなむ。熱かんも冬の京都に欠かせない。