立候補予定者の事務所では消毒液を置くなど、新型コロナウイルスの感染予防に取り組んでいる(京丹後市内)

立候補予定者の事務所では消毒液を置くなど、新型コロナウイルスの感染予防に取り組んでいる(京丹後市内)

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、全国で地方選挙が当初の予定通り実施されている。7日に緊急事態宣言が出た東京都や大阪府の自治体では選挙管理委員会が投開票時の感染防止に苦慮しており、延期を求める声も出ている。京都府内では19日告示、26日投開票で京丹後市の市長選と市議選が行われる。立候補予定者はいかに有権者と触れ合わずにアピールできるか頭を悩ませる。宣言は全国に対象地域が広がった。有識者からは投開票の方法などで柔軟な対応を取るべきとの指摘も出ている。

  京都府京丹後市選管は、全投票所の入場前に1~2メートル間隔で並ぶよう整理し、一度に入る人数を2~3人に制限する。入り口に消毒液を設置し、記載台や机の除菌を徹底して30分ごとに換気する。鉛筆は記載台に置かずに受け付けで渡し、黒鉛筆と黒ボールペンは持参を認める。投票に行く人が分散するよう、期日前投票の呼び掛けに重点を置く。
 影響は開票作業にも及ぶ。通常は職員120人体制だが、今回は80人に削減。市選管の担当者は「体制が大きく変わるので、結了時刻が読めない」と漏らす。
 緊急事態宣言が出ている大阪府。茨木市では12日に市長選が行われた。市選管は2回、新聞折り込みで投票所の混雑時間や筆記具の持ち込みができることを知らせた。使い捨て鉛筆も9万本用意した。それでも市民から「延期できないのか」などの懸念が電話で1日数十件寄せられたという。
 開票作業の職員も約120人減らして285人とした結果、結了は前回よりも1時間以上遅くなった。市選管の吉川忠臣事務局長代理は「市民に感染させない対策ばかり考えていた」と振り返る。19日投開票の市長選・市議選がある大東市とともに、この時期の選挙は適切ではないと市長名で総務省と大阪府選管に見解を求めたが、感染防止を徹底した上での執行を求める回答だった。
 東京都でも19日に目黒区長選が行われる。投票所38カ所と期日前投票所7カ所に扇風機や空気清浄機を設置。鉛筆は使用後に回収し、受け付け職員は手袋をして業務に当たっている。
 過去に選挙が延期されたのは阪神大震災と東日本大震災の際で、投票所と人員の確保、有権者の把握の難しさが理由だった。総務省は今回の事態による選挙延期の特措法を提案する予定はないという。

■立候補予定者全員、決起集会取りやめ

  京丹後市長選には現職と新人3人の計4人が立候補を予定している。感染防止のため、全員が決起集会を取りやめた。
 ある立候補予定者は事務所開きを屋外で行った。参加人数も抑え、間隔を空けて時間も短縮。直接訴える機会が減る分、ビラなどの配布に力を入れる。種類を増やし、若いスタッフの意見を取り入れ、読みやすいように文字数が少ないものも作った。
 告示後は各選対とも公共施設などでの個人演説会は難しいとみている。中心となる街頭活動でも握手はせず、「感染のリスクがない」と、電話での支持拡大に重点を置く選対もある。ホームページや会員制交流サイト(SNS)などでも情報発信するが、「高齢者が多い地域なので、顔を合わせる方が効果的なのだが」との声も漏れる。
 各予定者の事務所は「支援者やスタッフに感染者が出れば選挙どころではない」と予防策を徹底している。「感染を恐れて外出を自粛し、投票率も下がるのでは」との見方も出ている。

■柔軟な対応が必要

 富野暉一郎福知山公立大名誉教授(地方自治論)の話  投票受け付けで2メートルの間隔を空けるなどの対策をとれば時間はかかるが、遅れが出れば投票所は閉めず、投票時間を延長するといった柔軟な対応をすればいい。即日開票にもこだわるべきではない。開票作業をする職員の間隔を空け、消毒などもすれば時間がかかるという状況を選管が明確に説明すれば、市民も理解してくれるだろう。