日本語教室の休止で学習の遅れを心配するベトナム人技能実習生。受講者からは今後の生活に不安の声を漏らす人もいる(八幡市内)

日本語教室の休止で学習の遅れを心配するベトナム人技能実習生。受講者からは今後の生活に不安の声を漏らす人もいる(八幡市内)

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、京都府内の外国人住民が情報不足に不安を募らせている。言語を学ぶとともに生活情報を得る場だった地域の日本語教室は軒並み休止している。災害時と同様、言葉の壁で「情報弱者」となっている外国人への支援が課題となっている。

■日本語教室休止で情報手に入らず、行政の支援も薄く

 「この先どんな情報に注意すればいいのか分からない。日本語教室があれば深く状況がつかめるのに」。八幡市のシリア人男性(31)は肩をすくめる。
 同市の教室「世界はテマン」に通っているが、3月に教室は休止した。自動車関連会社で働きながら教室へ通い、講師に困り事を相談していたが、それもできなくなった。手元にマスクや消毒液がなく、「先生に会えたなら、入手する手だてを教えてもらえたかも」と残念がる。
 同じ教室に通うベトナム人技能実習生の男性(19)は7月に日本語能力試験を控える。「試験に合格したいけど、このままだと大丈夫じゃない」と学習の遅れを気に掛ける。教室の代表の男性(74)は「仕事は単調作業で、寮は母語一色の世界。日本語と接点がなくなり、聴く力はすぐに落ちる」と案じる。
 住民ボランティアが運営するこの教室にはアジア各国や南米など出身の100人超が通う。足立さんは「行政による生活支援は薄く、教室が日常を支えているのが実態。今こそ細やかなサポートが必要なのだが」と話す。
 綾部市や亀岡市の国際交流協会が催す教室も3月から取りやめに。上京区の京都YWCAが運営する「洛楽」は「生活に必要不可欠な場所」として3月は踏みとどまって続けたが、4月から中止した。
 精華町の国際交流団体「せいかグローバルネット」の日本語学習室は休止後、講師陣が受講生に週1回程度、個別に電話やメールで連絡を入れて困り事を尋ねている。講師の女性(70)は「知るべき情報は刻々と変化し、外国人住民の不安は大きい。民間ができることに限りはあるが『日本で生活していても大丈夫』とメッセージを送りたい」と話す。

■言葉の壁 「災害時と同じ」 健康・経済的な困難 意思伝えにくく

 京都市国際交流協会(左京区)の相談窓口には2月下旬以降、約70件の相談があった。体調の不安や経済的な困りごとがあっても、病院や役所との意思疎通が困難な事例があるという。
 同協会の窓口は、電話なら英語と中国語で相談員と会話でき、来館すればベトナム語やネパール語など8言語で対応してもらえる。協会によると、当初は自身や家族の体調を心配する内容が目立ったが、最近は仕事の激減や解雇などに関する相談が増えている。
 観光ガイドで家計を支える外国人学生の男性は収入が途絶えた。自ら厚生労働省の休業支援制度を調べたが理解できず、協会へ「生活するお金がない。自分は当てはまりますか」と英語で相談した。相談員が調べたが適用できる制度はなく、男性はアルバイト先を探しているという。
 他にも「頭痛やだるさがあるのに病院で検温してもらえず、処方箋も出してもらえない」「(外出自粛要請が出る中で)外出したら罰せられますか」といった相談や問い合わせが寄せられているという。
 協会の井上八三郎事務局長は「『やさしい日本語』を用いたニュースもなく、外国人住民は情報不足に陥っている。災害時と同じ状況だ」と指摘する。