17日まで営業していた藤井大丸のデパ地下(京都市下京区)

17日まで営業していた藤井大丸のデパ地下(京都市下京区)

京都高島屋

京都高島屋

 さまざまな総菜や高級食材がそろう百貨店の「デパ地下」。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、京都市内の4百貨店は臨時休業に突入したが、デパ地下の営業を巡っては2店が継続、2店が休業と真っ二つに割れた。生活を支える「ライフライン」の維持か、集客に伴う感染リスクの低減か―。各店が苦慮した判断の舞台裏を探った。

 4百貨店では、ジェイアール京都伊勢丹(下京区)が12日から先行して全館休業し、京都高島屋、大丸京都店、藤井大丸(いずれも同区)が15日から休業。だが、デパ地下は京都高島屋と大丸京都店が営業を継続する一方、独立系の藤井大丸は18日以降の休業を決めた。

 高島屋と大丸は、休業決定とともにデパ地下の営業継続を併せて発表したが、藤井大丸は社内外の調整が難航した。休業を公表した13日時点では結論が出ず、翌14日に決着したのは、生鮮食品などの大量廃棄を避けるために17日まで営業を続ける方針だった。

 同店のデパ地下を15日に訪れた近くの男性(69)は「閉まると不便になるが仕方がない…」と落胆した。食品スーパーが少ない四条通周辺では地域住民からのニーズもあるが、藤井大丸の藤井健志社長は「従業員たちの感染への不安は日々大きくなってきていた。お客さまや社員の安全を最優先に考えた」と理解を求める。

 京都市内で最も早く全館休業を決めた京都駅ビル内のジェイアール京都伊勢丹。運営するジェイアール西日本伊勢丹(同区)によると、緊急事態宣言の発令以降、対象区域に指定された大阪府などからの来店者が散見されたことも決断の背景にあるという。

 先に緊急事態宣言が出た7都府県でも、デパ地下営業の判断は分かれている。大阪府は、新型コロナウイルス特措法に基づいて幅広い事業者に休業を要請したが、百貨店は「生活必需品の売り場は営業可能」と判断した。

 だが、大阪・キタの阪急、阪神百貨店の両梅田本店と、同ミナミの高島屋大阪店は、食料品売り場の営業を続けたのに対し、大丸の梅田店と心斎橋店はともに食料品フロアを含む全館で休業した。

 ある店舗関係者は「例えば和洋菓子や酒は生活必需品かと問われると迷う。食品ごとにデパ地下を細かく分ける訳にもいかない」と打ち明ける。贈答品や輸入食材まで豊富に扱うデパ地下の特性が、一律の判断を難しくしている実情もあるようだ。

 感染拡大で外出自粛の動きが強まった3月の業績は、大丸京都店が前年同月に比べ36・6%減、京都高島屋が33・1%減と大幅なマイナスに沈んだ。ただデパ地下は百貨店の集客の柱でもあり、大丸京都店では総売り上げに占める食品の割合は3割近くに上る。
 住民の「食」を支えるのか、感染拡大の可能性を絶つのか。新型ウイルスの大流行による社会の動揺の中で、各百貨店は難しい運営判断を迫られている。