「1人でも多くの人の命を救えるよう、私からのお願いです」―白血病と闘う競泳選手の池江璃花子さん(19)が先月初め、新型コロナウイルスの感染拡大で激減した献血への協力をツイッターで呼び掛けた。イベントの中止や延期で、移動献血車のキャンセルが相次いでいたためだ▼東京五輪への出場を断念せざるを得なかった、池江さんの切実な訴えは瞬く間に拡散し、若い世代の心に響いた。日本赤十字社によると、献血の輪が全国へ広がり、その後、輸血用血液の在庫量はひとまず回復傾向だったという▼インターネットを通じ、社会に大きな影響を与える人を「インフルエンサー」と呼ぶらしいが、まさにそれ。すごい影響力だ▼ところが、東京や大阪などに「緊急事態宣言」が発令された。職場や学校は休業し、不要不急の外出は自粛へ。再び献血が鈍り始めている▼病気やけがの治療には輸血や血液製剤が欠かせないが、いまだ人工的に血液を造るのは難しい。日本では毎日約3千人が輸血を受け、それに必要な1日当たり約1万3千人分の血液全てが善意の献血で賄われている▼新型コロナの緊急事態と同様に、献血の「危機」も命に関わる。外出に伴う感染リスクはできるだけ避けねばならないとはいえ、献血への参加は不要不急に当たるまい。