新型コロナウイルスの感染拡大が続く。対応の妨げとなるようなことは、してはならない。

 トランプ米大統領が、世界保健機関(WHO)への資金拠出を一時停止するよう指示したと明らかにした。

 WHOが、中国寄りの立場を取って、新型コロナの感染防止に失敗したためだという。組織の見直しも要求している。

 しかし、世界的な感染拡大に対処するのに、要となる組織はWHO以外に見当たらない。

 国連のグテレス事務総長は、WHOを支えることが「極めて重要だ」と強調し、「今は資金を削減する時ではない」とする声明を出した。

 トランプ氏は、新型コロナに国際社会が結束して立ち向かえるよう、指示を撤回すべきだ。

 WHOにとって、米国は最大の資金拠出国である。昨年の拠出額は約430億円に及び、予算の約15%に達するとされる。

 それが未収となっては、WHOの活動に支障を来すのは間違いない。途上国支援などの重要な任務が、資金不足で滞ってしまう恐れもあるだろう。

 米情報機関の警告があったにもかかわらず、トランプ氏は当初、新型コロナの感染拡大を楽観視していた。米国は現在、感染者が60万人以上、死者が2万5千人を超え、世界最大の被害を受けている。対応の遅れに対し、厳しい批判が国内にある。

 WHOへの非難は、11月に大統領選を控え、批判の矛先をそらす狙いがあると指摘されている。

 感染症対策に、政治的な思惑をにじませてはならないはずだ。

 ただ、資金拠出の一時停止に至った理由として、トランプ氏が挙げたことについては、一考してもよいだろう。

 同氏は、WHOが新型コロナへの初動対応で中国に情報隠しの疑いがあったのに、説明をうのみにしたと主張する。緊急事態宣言は遅れ、米国が打ち出した中国からの入国禁止措置を批判したと指摘して、「感染拡大を発生源で封じ込めれば、死者も少なく、世界経済への打撃も防げた」と語る。

 WHOのテドロス事務局長の行う新型コロナ対策が、中国寄りだとする声は、台湾からも上がっている。

 WHOは今、新型コロナ対策に全力を傾注すべきだろう。とはいえ、感染終息の見通しが立てば、対応に誤りがなかったか、しっかりと検証してもらいたい。