新元号を定める手続きで注意が必要なのは過去の元号や地名、商品名などに使われていないかを確認することだという。だが実際には「見落とし」もあった▼これは平成(へなり)じゃないか-。今の元号が決まった時、9世帯35人が暮らしていた岐阜県武儀町(現・関市)の平成地区は盛り上がった。翌日から見物客が押し寄せ、同地区は一躍有名になった▼「市町村名や商品名は全部調べた。決まった後に分かった」と当時の内閣官房副長官だった石原信雄さん(92)が振り返っている。平成は大字(おおあざ)でもなく、「そこまで調べるのは限界を超える問題だ」▼史上4番目に長く続いている元号「平成」が発表されて今日で30年。慣れ親しんだ時代もあと4カ月足らずで幕を閉じる。その後を継ぐ新元号の公表日が4月1日と決まった。公表や施行の期日を巡っては、政府と自民党保守派の間でせめぎ合いがあった▼システム改修など国民生活への影響は無視できない。1カ月間の準備期間を設ける判断は穏当といえるのではないか。あとはどんな元号になるかが焦点だ▼漢字2字で、書きやすさ、読みやすさに加え、国民の理想にふさわしい良い意味を持つことも必要とされる。それが満たされれば、小さな集落に希望を与えるような「見落とし」があっても大目にみたい。