京丹後市役所

京丹後市役所

 26日投開票の京都府京丹後市長選は、前回選挙で初当選した現職と4年前まで3期務めた元職が再び対決する異例の構図となっている。保守系は新人も加わり3分裂の様相で、共産党推薦の候補も挑む。6町合併で市が誕生して16年。5度目の市長選を迎えても保守層を中心に旧町単位で地域を二分する批判合戦が繰り広げられている。融和は今なお遠い。

  市長選は現職の三崎政直氏(68)=自民党、立憲民主党、国民民主党、公明党推薦=と元市職員の長砂浩基氏(56)=共産推薦、前市長の中山泰氏(60)、前市議会議長の松本経一氏(62)の4人がいずれも無所属で出馬した。三崎氏は旧網野町長や久美浜町長らが支援し、中山氏は峰山町の保守層や経済界が支える。大宮町の松本氏は自民党籍がある。
  「絶対に勝とう!」。選挙戦が幕を開けた19日の告示日。各陣営では候補者や支援者らの勇ましい掛け声が響いた。盛り上がりの裏で、保守陣営で長年選挙に関わってきた男性がつぶやく。「もう政治の世界には関わりたくない。どっちに付いた付かないで仕事を失う。友人も失って人間不信になった」。今回から自民と距離を置いた。本当はもっとまちづくりを語りたかった。「でも…。もう怖いし、語らない。選挙にも行かない」
  「保守王国」と呼ばれる府北部の中でも京丹後は特に保守系が強い地域だが、2004年の合併後から保守分裂の選挙が続く。背景には対等合併に起因する旧町を軸とした地域間のしこりや不平等感がある。
  「発端は衆院の中選挙区時代にしのぎを削った谷垣氏と野中氏の代理戦争だ」と自民の元市議。04年市長選では、京都5区を地盤とした谷垣禎一前自民総裁に近かった旧網野町長の濱岡六右衛門氏に対して、峰山の関係者らが擁立した中山氏を故野中広務自民幹事長が推す構図だった。政党推薦は民主党(当時)が濱岡氏、自民が中山氏と分かれたが、実際は地域の保守層が割れる争いを中山氏が制する結果となった。
  地域間の対立が色濃く出たのが8年前の市長選。峰山を中心とする中山氏と、大宮と網野をそれぞれ地盤とする元市議2人が争った。市役所があり商業地の中心である峰山に対し、周辺部となった地域が不満を訴える選挙だった。元市議2人は敗れたが、前回選挙で三崎氏を擁立。勝利したものの、峰山対他町の対立構造が残った。元市議の1人は「融和を進めるため選挙に出たが、出たことで対立を深めた」と感じて裏方に回ったが、「結局、同じ構図になってしまった」と話す。
  今回の選挙でも熾烈(しれつ)な批判合戦が始まりつつある。自民推薦を巡っては、三崎氏の後援会の飲食費負担問題を起因として党京丹後総支部と峰山支部が反目。峰山支部が報道機関に発表した文書に対し、総支部が「虚偽」と反論する内紛も発生した。昨年の市議会での発言を巡って党内の議員が刑事告訴する動きも起こった。
  京丹後は加速する過疎高齢化と経済基盤の弱さに直面する。新型コロナウイルスの暮らしや産業への影響も避けられない。まちづくりに関わってきた女性(55)は旧町よりも新市に帰属意識を持つ世代が増えてきていると感じている。「民間レベルではもはや旧町どころか市域を超えた連携が始まっている。なのに政治は町へのこだわりが強すぎて旧町単位にとらわれたままだ」