政府は、新型コロナウイルスの感染対策で創設する総額1兆円の臨時交付金について、自治体が事業者への休業協力金の財源にも充てられるようにした。

 事業者の休業中の損失を国が穴埋めする「休業補償」については慎重姿勢を崩していないが、全国知事会など地方側の強い要請を受け、地域経済対策の一環として活用を認めた。

 緊急事態宣言の対象が全国に拡大され、休業要請とセットで協力金を支給する独自支援の動きが都道府県に広がっている。多くの自治体が財源捻出に苦心しており、容認は一定の前進と言えよう。

 政府は感染の拡大防止へ人と人との接触を極力8割減らすよう求めており、休業要請はその有効な手だてとなる。自治体の支援が進み、交付金が不足する事態も想定されよう。政府は増額の検討と併せ、地方が柔軟に活用できる交付金制度にする必要がある。

 臨時交付金は、政府が2020年度補正予算案に盛り込んだ緊急経済対策の柱の一つで、総額1兆円のうち、自治体が単独事業に充てられる分として7800億円が計上されている。

 緊急事態の対象拡大後、先行する7都府県に続いて北海道、石川など休業要請に踏み込む自治体が相次ぎ、協力金の給付など独自支援を打ち出している。京都府も中小企業に20万円、個人事業主に10万円を支給する方針を決めた。

 だが、大阪府や兵庫県は中小企業に100万円、個人事業主に50万円の給付を打ち出すなど、独自支援を決めた自治体間でも額にばらつきが出ている。休業に応じる事業者に不公平感が募れば、要請の実効性低下につながりかねない。政府は給付の枠組みを示し、自治体の財政力を踏まえて交付金を配分する必要がある。

 緊急事態宣言で政府は知事に自粛や休業を要請する権限を委ねた形だが、宣言の根拠となる新型コロナ特措法にはその権限に見合う財政措置の規定がない。

 地域の医療態勢は患者の急増で崩壊が危ぶまれている。専用病床や医療従事者の確保は喫緊の課題だ。仕事や住まいを失い、生活に困窮する住民への支援も求められる。自治体が取り組まねばならない対策は多い。

 財源の裏付けがないままでは、対策が後手に回りかねない。宣言対象地域の拡大で各自治体が権限に基づいて的確な施策が打てるよう、政府は財政支援の仕組みづくりも急ぐべきだ。