昆虫の死骸をエサとして集めるムネアカオオアリ

昆虫の死骸をエサとして集めるムネアカオオアリ

<いきものたちのりくつ 中田兼介>

 同じ種類の生き物がたくさん集まり、社会を作る場合があります。社会性は繁栄を導く一つの道筋ですが、同じ種類の生き物が密接に関わりながら暮らすことにはデメリットもあります。病気が広がりやすくなることがその一つです。

 アリ、ハチ、シロアリは、たくさんの個体が集まって暮らしている社会性昆虫です。この社会は基本的に家族からできていて、菌やバクテリアが繁殖すると皆にとって一大事です。特に危険なのが、湿度の高い土の中で巣を作る種類のアリ。そこでアリは自ら抗生物質を分泌し、自分や巣仲間の体に塗りたくって身を守ります。

 また、菌に汚染されたエサを見分けることができ、近寄らないようにしますし、巣仲間が汚染されているのを発見すると、相手の体から胞子を取り除き、自分の体も口や脚でこすってきれいにします。幼虫を清潔に保つため、抗菌性のある針葉樹の樹脂を集めてきて巣に蓄える種がいたり、その名も蟻酸(ぎさん)という酸性の液体を使った毒で菌を殺す種までいます。

 ここを突破されて、菌が社会に侵入してくることもあります。ある種では、菌に感染した働きアリは幼虫の世話をしなくなり、他の種では菌の増殖が進んで働きアリが弱ってくると、巣の外に出て仲間から離れた場所で死ぬことが観察されています。こうして自己隔離することで他のメンバーへの伝染を防いでいるのでしょう。また巣の中に、エサの食べ残しや死んだ働きアリや幼虫があると感染源になりかねないので、アリたちはこれらをすぐに外に捨てるようにしています。

 菌も自分たちのりくつで生きているだけなのですが、アリにとっては病気です。徹底的に戦わなければなりません。負けるなみんな!(京都女子大教授)

◆中田兼介 なかた・けんすけ 1967年大阪府生まれ。京都大大学院で博士号取得。著書に「クモのイト」「びっくり!おどろき!動物まるごと大図鑑」など。「図解 なんかへんな生きもの」を監修。