新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、気がかりなことがある。通所型などの介護事業所で休業が増えていることだ▼厚生労働省の調査によると、緊急事態宣言の先行7都府県で、高齢者が自宅から施設に行く通所介護や短期宿泊の事業所を中心に260カ所以上が休業していた。大半が感染防止のために自治体の要請でなく自主判断で決めたという▼重症化リスクが大きい高齢者を預かる施設であり、もしクラスター(感染者集団)が発生すれば取り返しのつかないことになる。悩んだ末のことだろう▼だが、感染が長期化し、休業が各地に広がっていけばどうなるか。今は事業所全体の一部にすぎなくても、要介護や要支援の高齢者を抱える家族は落ち着いていられないのではないか。かく言う当方も訪問と通所を組み合わせて老親のケアをしてもらっている。頼みの綱がなくなれば、今の生活は成り立たない▼お世話になっている事業所の話では、休業の考えはないが、職員や利用者に感染者が出たら保健所などの判断でどうなるか分からないのが実情という▼人手不足と事業所の経営難、そこへコロナ禍が加わり、介護崩壊や介護難民を心配する声が強まっている。介護保険制度が始まって20年。原点である「介護の社会化」の理念を、古びさせたくない。