聖観音坐像(滋賀県指定文化財 寂光寺蔵 鎌倉時代)

聖観音坐像(滋賀県指定文化財 寂光寺蔵 鎌倉時代)

弥勒如来坐像(大津市指定文化財 弥勒堂維持委員会蔵 平安時代)

弥勒如来坐像(大津市指定文化財 弥勒堂維持委員会蔵 平安時代)

 広大な寺域を誇る園城寺(三井寺)は、さらにその周辺にも関連する仏像が点在しています。中でも山科に近い藤尾奥町にある寂光寺の聖(しょう)観音坐(ざ)像は、鎌倉時代初期の作で、極めて秀逸です。

 頭頂部はとても高くて装飾的な髻(もとどり)を結いあげ、四角めのお顔は張りがありピチピチしています。体つきも筋肉質でムチムチしており、肉体の弾力を感じさせる造形です。これと同じような作風を持つのが、あの運慶です。

 園城寺は源氏とのゆかりが極めて深く、鎌倉幕府がその造営に関わっています。運慶は幕府関連の造像をよく行っていたこともあり、運慶工房によって本像も造られたと考えられます。本像は大津の運慶仏を考える上で重要な作例です。

 園城寺門前の北保町(現、観音寺町)に伝来の弥勒(みろく)如来坐像は、なんと鉄製です。わが国ではなぜか、鉄造の仏像は現存例が少なく、珍しい存在です。この像は、穏やかな表情で衣文(えもん)の彫りが浅いところから平安後期の造立と思われます。平安時代の鉄仏の報告はほとんどありませんから、現存最古級だといえます。

 よく見ると、額のあたりがすべすべしています。地髪は板チョコみたいな感じですが、実はここだけ銅製なのです。造立時、溶けた鉄がここにまわらなかったので、銅を継ぎ足したのです。整形したんやろ、なんて言わないでくださいね。(大津市歴史博物館学芸員 寺島典人)

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 大津市内の10社寺でつくる湖信会設立60周年、日本遺産登録を記念した大津市歴史博物館の企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」(同館、びわ湖大津観光協会、湖信会、京都新聞など主催)に合わせて、大津の仏教文化を同館学芸員に紹介してもらいます。

 湖信会の10社寺は、浮御堂(満月寺)、西教寺、延暦寺、日吉大社、近江神宮、三井寺(園城寺)、石山寺、建部大社、岩間寺(正法寺)、立木観音(安養寺)です。

 ■企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」は11月25日まで、大津市歴史博物館(同市御陵町)で開催。月曜休館。有料。