新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を受けた都道府県の休業要請を巡り、政府は知事が事業者名公表を含む強い措置を出せるようにする検討を始めた。

 要請に応じず営業を続けている例があるとして、大阪府や兵庫県などがパチンコ店などを念頭に公表する考えを示している。

 感染拡大を食い止めるため、政府は人と人との接触を極力8割減らすよう求めている。店舗の休業はその有効な手だてとなる。

 要請の実効性を高めることは重要だ。ただ、事業者名の公表は、対象となった店舗への風当たりを必要以上に強める恐れがある。

 政府や知事は、なぜ休業が必要なのかを丁寧に説明し、事業者に自発的な協力を求める努力を怠ってはならない。公表に踏み切らざるを得ない場合は、十分な根拠をもって判断する必要がある。

 京都府など各地で始まった休業要請は、特措法24条に基づく協力の呼び掛けにとどまっている。このため、対象となっても営業を続けている店舗は多いとみられる。自治体には、店の近隣住民から「客が増え、感染の広がりを考えると怖い」などの相談や通報が寄せられているという。

 政府が定めた新型コロナ対策の基本的対処方針は、特措法24条の要請に正当な理由なく応じなければ、同法45条の措置に移行するとしている。自治体は休業要請の段階で施設名を公表でき、さらに法的に従う義務を負わせる「指示」も可能になる。

 45条に基づく措置にも罰則はないが、対象の事業者は休業を拒否しづらくなるだろう。

 一方で、特措法には事業者が不服を申し立てられる規定がない。対処方針も、自治体は国との協議や専門家の意見を聞いた上で45条の措置を行うとしているが、対象となる事業者の意見を聞く仕組みは示していない。

 事業者には休業による収入減への不安が根強い。自治体は、休業要請に応じた場合に協力金を支払うなどの対策を進めているが、不十分だとの声も出ている。

 経済的な事情から、休業要請を受け入れづらいケースも想定されよう。各自治体は強い措置を一方的に打ち出すのではなく、各事業者が抱える事情に丁寧に耳を傾けてほしい。

 強力な要請に踏み切れば、休業を求めていない近隣府県に多くの人が流れ込む可能性もある。広域的な視点も踏まえて要請のあり方を考えるべきだろう。