工場で加工されるタケノコ。今シーズンは、料亭向けの高級品のキャンセルが相次いだ(長岡京市奥海印寺・小川食品工業)

工場で加工されるタケノコ。今シーズンは、料亭向けの高級品のキャンセルが相次いだ(長岡京市奥海印寺・小川食品工業)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、京都府乙訓地域特産のタケノコが大きな影響を受けている。料亭など飲食店の大幅な需要減で市場価格も下落しており、関係者は「不作だった昨年に比べて生育は順調だっただけに悔しい」と肩を落としている。

 タケノコ料理の名店として全国的に知られる老舗料亭の「錦水亭」(京都府長岡京市天神2丁目)は、緊急事態宣言が東京都や大阪府に出された今月7日あたりからキャンセルが相次ぎ、現在の客足は「例年の9割減」だという。5月1日からは1カ月間の臨時休業も決めた。
 缶詰などの加工品製造販売の小川食品工業(同市神足)は、地元の農家から買い取ったばかりの質のよいタケノコを工場でゆがき、氷詰めにして関東圏の料亭などに出荷しているが、今シーズンは予約のあった計10トンのうち95%に当たる9・5トンがキャンセルになった。小川修司社長は「高級食材としての京都のタケノコを全国に発信する意味合いもあって始めた。昨年は不作で受注に十分応じることができず、今年は力を入れていたので残念だ」と落胆する。乙訓産のタケノコを扱う特産品専門店「とり市老舗」(京都市中京区)でも、関東の百貨店での販売が中止となるなどの影響が出ているという。
 販路の減少は生産農家を直撃する。白さと柔らかさで全国的に知られる「物集女たけのこ」の地元の物集女農家組合(京都府向日市)の廣田文昭さん(70)は「卸売価格が例年の半分で、市場との取引をメインにしている農家は特に厳しい」と話している。