必要最小限の人数での来店を呼び掛けるスーパーの案内ビラ(京都市山科区・マツヤスーパー山科三条店)

必要最小限の人数での来店を呼び掛けるスーパーの案内ビラ(京都市山科区・マツヤスーパー山科三条店)

小売各社の主な感染防止策

小売各社の主な感染防止策

 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言が全国に広がって以降、京都や滋賀のスーパーやドラッグストアも利用客の集中に苦慮している。次々に訪れる客と接する従業員は感染リスクに直面し、各店は感染防止に神経をとがらせる。いら立つ客のクレームにもさらされ、現場の疲労感が色濃くなりつつある。

 京都市山科区の「マツヤスーパー山科三条店」。緊急事態宣言後の21日午後3時に訪れると、店内は多くの買い物客で混み合っていた。京都府や滋賀県内で9店を展開する同社の中山弘専務は「お客さまが最も少ない時間帯でこの状況。週末はもっと多く、入店客数が1割増えた店もある」と説明する。

 だが、客の増加を素直に喜べないという。マスクを着けない人、親子連れや3世代で訪れる人…。店舗は感染リスクの不安の中で働く従業員を守ることが求められる一方、客を選別するような厳格な入店規制の導入は難しいためだ。

 マツヤスーパーでは、飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、今月には全店のレジに透明のビニールカーテンを設置した。店内の掲示や放送でマスク着用や必要最小限の人数での入店も呼び掛ける。レジ前の床に距離を取る目安のシールを貼り、密集状態が発生しないよう配慮した。

 だが、対策の浸透は容易でない。「なんでこんなうっとうしいもん付けるねん」。レジのカーテンに腹を立てた客から、ある従業員はそんな言葉をぶつけられた。「カートは使う度に消毒しているのか」と現実的に無理な対応を要求されることもあり、店員らの心労も増しているという。


 中山専務は「食生活を守るライフラインとして従業員は使命感を持ってやっているが、いつ感染するか分からない状況や、クレームに神経質になっている」と厳しい表情で話す。
 多くの小売店では食品を買い急ぐ客の増加で、現場の負担が増大している。京都生活協同組合(南区)や大手スーパー平和堂(彦根市)は、本部職員・社員を派遣して店舗人員を増強。業界団体によると、感染リスクを理由にアルバイトの退職や休職も増え始め、一部店舗で人手不足が深刻化しているという。


 消耗する従業員をねぎらうため、京都生協や平和堂は従業員の給料に一時金を上乗せ支給する。ライフコーポレーションやイオン、スギ薬局など大手各社も特別手当を用意し、士気の維持に躍起だ。
 ドラッグストアでは、一向に解消しないマスクの品薄に不満をぶつけてくる客の応対に加え、風邪気味の人が薬や体温計を買いに来るケースも多い。フジタ薬局(伏見区)は、こうした来店者に接する従業員向けに、ビニール手袋とゴーグルまで配備。受け取った現金もアルコール消毒し、感染予防を徹底する。
 藤田哲社長は「薬局が休業するわけにはいかない。たとえ感染者が来ても従業員を守れるよう、細心の注意を払っている」と話す。