おとといの夜、仕事帰りにJRの駅を降りたら局地的に激しい雨が降っていた。駐車場までのわずかな距離のために、コンビニで傘を買った▼雨の風情というものが失われたように感じる人は多いのではないか。「9月の雨は冷たくて…思い出にさえしみている」―。懐かしい昭和歌謡に出てくるような雨は、まさに思い出の中だけになった気がする▼そういえば洋の東西を問わず、タイトルに「雨」「RAIN」がつく歌はいい曲が多く、はずれがないという話がある。なぜだろうと考えて気付いたことがあった▼雨と歌は似ている。ありふれたものだが、ちょっとした潤いを日常に与え、風景をみずみずしくさせる。そんな情感は地球温暖化で、いまや風前のともしびかもしれない。変わったのは気候だけか。新しい雨の歌はあまり知らない▼佐賀などを襲った記録的大雨から1週間が過ぎたが、多くの人が避難を続ける。きのうは3県で死者・行方不明者88人に上った紀伊半島豪雨から8年だった。強い台風13号が新たに近づいている。米国からは巨大ハリケーンのすさまじい被害が伝えられる▼「すてきなラブソングはいつも、雨の心で書かれている」―。古いポップスにたしか、そんな一節があった。雨の心はどこに行ったのか。すてきなラブソングも。