国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)

国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)

 統合失調症やうつ病などの精神疾患で生じる記憶力の低下は、加齢や個人差など一般的な記憶力の低下と同じ脳内の状態で生じていることが、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などのグループの研究で分かった。症状を改善する治療の糸口になる可能性があるという。オンライン学術誌「eLife」で8日に発表した。

 グループは、ATR脳情報通信総合研究所の山下真寛研究員、京都大の高橋英彦准教授、東京大の今水寛教授ら。

 数字を聞いて電話をかけるなど一時的に記憶する「作業記憶」で脳のどの部分が連動して働くかを、機能的核磁気共鳴画像装置(fMRI)を使って男女17人で調べた。脳には、ある動作をするときに異なる部分が連動する「ネットワーク」がいくつもある。グループは作業記憶と関連するネットワークの稼働状態を突き止め、稼働状態の強弱が作業記憶力の高低につながっていることを示した。

 さらに統合失調症の患者58人で調べたところ、ネットワークの稼働状態は同様で、記憶力の低下は脳内の共通の要因で生じていることが分かった。

 グループは、作業記憶と関連する脳内ネットワークの稼働を強化するイメージトレーニングの実験を進めており、山下研究員は「記憶力が低下する症状の改善が可能になるかもしれない」と話している。