貧困の解消から技術革新の基盤づくり、さらには気候変動対策まで…。幅広い目標を盛り込んだ「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組みが日本国内でも広がっている。

 2015年の国連サミットで採択され、30年までに達成すべき数値目標を17分野169項目にわたって定めたものだ。

 範囲が広く、どんな行動がSDGsにつながるのか分かりにくいと考える人も多かろう。

 だが、複雑に絡み合う地球規模の課題を幅広くとらえ、総合的に解決を図ろうという発想は重要だ。すでに、SDGsを、まちづくりや経済活動に生かす尺度にしている自治体や企業も少なくない。

 9月下旬、米ニューヨークの国連本部でSDGsに関する初めての首脳級会合が開かれる。

 自国中心主義を掲げ、内向きを強める国が増えている。そんな時代だからこそ、世界が直面する共通課題への認識を新たにし、具体的な行動につなげる議論の場になってほしい。

 日本では、内閣府がSDGs達成に向け優れた取り組みを提案する自治体を選定している。

 本年度は滋賀県や舞鶴市など31自治体が新たに選ばれた。

 滋賀県は将来ビジョン「県基本構想」にオーガニック農業や障害者差別のない共生社会づくりを掲げた。舞鶴市は人工知能(AI)などの先進技術を活用し、万願寺甘とうの栽培管理や再生可能エネルギーの地産地消を図るという。

 金融機関では、滋賀銀行や京都中央信用金庫がSDGs推進に貢献する事業を融資で支援する活動をスタートさせている。

 SDGsは「誰一人取り残さない」世界の実現を目指す。

 行政施策や企業活動の中に地球規模の課題解決につながる理念や行動原理を埋め込むことで、足元の活動をグローバルな問題解決につなげる-。こうした機運が、私たちの身近なところで少しずつ広がっている。大切に育てていきたい。

 政府は、日本のSDGsモデルを東南アジア、アフリカを重点に国際社会に展開するとの構想を示している。9月の首脳級会合に合わせ、防災や保健、教育への支援策を実行するため約85・5億ドル(約9100億円)の拠出も検討している。

 ただ、日本の取り組みは国際的に評価されているとは言えない。国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークなどが6月にまとめた報告書では、日本のSDGs達成度は世界162カ国中15位。男女の平等、再生可能エネルギーの割合、水産資源の乱用、電気電子機器廃棄物の量などが「最大の課題」と指摘された。

 謙虚に受けとめ、政策に反映していく柔軟さが必要だ。

 政府のSDGsアクションプランを見ると、SDGs目標を省庁の縦割りに細分化し、既存政策を寄せ集めた印象を免れない。経済格差への対策など「取り残される」人々へ、十分な手が打てているとは言い難い。

 SDGsが描くのは、成熟した地球社会のあり方だ。経済成長を優先させてきた従来の発想をどう転換するかが問われる。