滋賀県に譲渡された日光菩薩像(右)と月光菩薩像。中央は大日寺所有の木造薬師如来坐像=「滋賀縣史蹟調査報告第五冊(調査員 文學史肥後和男)」より

滋賀県に譲渡された日光菩薩像(右)と月光菩薩像。中央は大日寺所有の木造薬師如来坐像=「滋賀縣史蹟調査報告第五冊(調査員 文學史肥後和男)」より

 滋賀県甲賀市信楽町宮町の大日寺が神仏像14体を滋賀県に寄贈したことを巡り、一部信徒が返還などを求める民事調停を甲賀簡裁に申し立て、9月に「住民投票」を実施して対応方針を決めることが30日、分かった。関係者が簡裁の和解案に合意した。県によると、仏像管理の在り方を信徒の投票で決めるのは異例だという。

 14体は日光、月光両菩薩(ぼさつ)と十二神将で、寺宝の木造薬師如来坐像(ざぞう)(県指定文化財)が従える神仏群。古来、無人堂にあったため、慣習で宮町区から選任された宗教法人大日寺の責任役員らが宮町会館内の寺収蔵庫や土蔵で管理し、1982年の盗難被害(後に発見、返却)後は薬師如来などの重要な仏像が県立琵琶湖文化館に委託保管されている。

 このうち14体は保存状態が悪く、修理の費用負担が約2400万円かかることが専門家の調査で判明。昨年春に同法人関係者が当時の宮町区幹部と県との交渉を踏まえ「将来も文化財として残すためには県の施設で保管してもらうのが適切」と財産処分手続きを進め、同6月に県に無償譲渡した。

 これに対し、元責任役員らは「信徒の知らぬ間に崇拝対象が流出した」と反発し、翌7月に調停を申し立て係争中だったという。

 住民投票は9月16日午後1~5時、宮町会館である。投票権は1世帯1票(全106世帯)で返還を求める▽返還を求めない▽どちらでもない―の3択から選ぶ。返還に関する多数票が最終意見となり、結果には異議を唱えないとする。

 宮町区幹部は「仏像が壊れかけているため宗教法人が県に譲渡したが、納得しない者もいる。投票で判断してもらうほかない」。元責任役員らの仏像を守る会幹部は「14体は薬師如来と不可分で古来、宮町区で伝承してきた。県新生美術館凍結で文化財の県外流出の恐れもあり、全神仏に収蔵庫へ帰還いただき、護持管理を続けたい」と話す。

 大日寺住職(代表責任役員)は「信徒の意向に沿って対応してきた。投票結果が出るまで静観する」とし、県教育委員会文化財保護課は「地域で決めていただき、その上で宗教法人が必要な手続きを進めるべきだ」としている。