<痛みの伴わない慢性病が、かえって命取りになる>。気付かぬまま動脈硬化が進み、機敏な反応や対処がとれなくなるからだという▼病気といっても、40年近く前にオムロン創業者の故立石一真さんが警鐘を鳴らした「大企業病」のことだ。組織が大きくなると決まりや手続き、会議が増えて決定と行動が遅れ、誰も責任を取らない-と症例を挙げた▼思い当たる病状が、政府の新型コロナウイルス対策に見られないか。接触削減を急ぐ東京都の休業要請に待ったをかけたり、一律10万円給付で混乱したりと、後手後手で場当たり的対応が目に付く。組織の論理が先立つのでは大切な命を守れない▼オムロンで一真さんの「大企業病退治」を引き継いだのは、コロナ感染で先日急逝した三男義雄さんだった。現場社員と膝詰めで語り合い、分権化を進めて克服に努めた▼事業成功の肝を尋ねたことがある。社会のニーズとなる前の現場の要望、期待を捉え、解決策を提案することだ-と。営業先の関西私鉄で聞きつけた声が、初の自動改札機の開発に結びついた経験からだ▼いま何が求められているかを見定め、内向きではなく、互いに連動してこそ組織を機能させられるのではないか。持てる力を生かす知恵と実行力を大切にした義雄さんの思いをつなげたい。