政府の計画はもはや合理性を欠いているとしか思えない。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設計画で、政府は埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良工事のため沖縄県に設計変更を申請した。

 辺野古移設の工期は当初想定の5年から約9年3カ月に大幅に延び、総工費は当初計画額の約2・7倍、約9300億円となる。

 しかも、これほどの巨費と長い年月をかけても、改良工事がうまく進むとは限らない。

 政府は海面から約70メートルまでの軟弱地盤に砂を締め固めたくいを打ち込んで強化するとしているが、さらに深い地盤の脆弱(ぜいじゃく)さを疑わせるデータが浮上している。

 防衛省は工法など技術的な課題を検討する有識者会議で一定の理解が得られたとするが、新たなボーリング調査をしていない。科学的な根拠は十分といえるのか。

 そもそも「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤の存在は、2016年の調査報告書で指摘されていた。だが、計画変更が公表されたのは18年12月の土砂投入開始後1年も経過してからだ。

 「辺野古ありき」でとにかく既成事実を重ねる。そんな意図があったと疑わざるをえない。

 沖縄では新型コロナウイルス感染が急増し、県が緊急事態宣言を出して対応に忙殺されている。

 わざわざそのタイミングで設計変更を申請したのは、大型連休前なら世論の関心を薄れさせ、6月の県議選への影響を最小化できるとの思惑があったからだろう。玉城デニー知事が「スケジュールありき」と反発したのは当然だ。

 事業完了に必要な期間は、埋め立て工事などに施設整備を含めれば約12年となり、普天間飛行場の返還は日米合意の「22年度またはその後」から、30年代以降にずれ込む見通しだ。

 今後、国と県の法廷闘争が見込まれるため、さらに工期が延びる可能性がある。

 政府は無理筋の辺野古移設にいつまでこだわるのか。むしろ米国との間で、普天間の運用停止に向けた現実的な交渉を始めるべきではないか。

 普天間に配備の輸送機オスプレイやヘリコプターの訓練を国内の複数地点で行い、機体のローテーションができれば、沖縄の駐機数を大幅に減らせ、普天間の運用を停止できるという見方もある。

 辺野古移設を「唯一の解決策」とする硬直した思考から脱し、普天間の危険性除去の可能性を柔軟に探る必要がある。