10月の消費増税対策として、政府がマイナンバー(個人番号)カードを活用して実施するポイント制度の概要が分かった。

 民間のスマートフォン決済事業者と幅広く連携し、利用者がスマホに入金すると、地域を問わず使えるポイントを国費で上乗せする。全国共通の制度となり、2020年10月に始めるという。

 政府は19年10月から20年6月まで中小店でのキャッシュレス払いへの還元を実施する。新制度はこれを引き継ぐ形だ。

 入金2万円に対して5千円分(25%)を提供する案が有力だ。相当な上乗せで、まさに「ばらまき」施策との印象が強い。

 19~20年度の景気対策のうち20年度は比較的小ぶりになるはずだが、新制度によって規模が膨張しつつあるのは問題だ。

 当初は既存の「自治体ポイント」を活用する仕組みを想定していたが、方針転換で数千億円の巨額事業に発展する。19年度当初予算に2798億円を計上した中小店でのポイント還元制度に匹敵する見通しとなった。

 過去の増税時には景気悪化が問題となり、今回の増税にも国民の反対が根強くある。

 だからといって景気対策の大盤振る舞いは論外だ。社会保障制度を維持させるための財源確保という目的が薄れ「何のための増税なのか」と本末転倒になる。

 低迷するマイナンバーカードを普及させる狙いにも違和感がある。新制度は本人認証などのためカードの取得が条件だ。

 全人口に対するカード交付枚数の比率は約14%にとどまる。必要性の乏しさに加え、個人情報が流出するリスクや集約されることへの抵抗感があるためだ。

 そうした不安を解消せずに、増税対策と無理やりつなげる政府の姿勢には疑問を感じる。

 さらにスマホ決済になじみのない人には、制度の仕組みそのものが分かりにくい。QRコードなどを介するスマホ決済は、LINE(ライン)や楽天など多くの企業が手掛けるが、高齢者などにはスマホを持っていない人もいる。

 所得制限を設けない一方で、実際には利用者を別の形で選別しかねない。「広く薄く」負担する消費税の趣旨とは異質の対策といえ、誰のための制度かと批判されても仕方ないのではないか。

 与党内には東京五輪に合わせて20年7月に開始を早めるよう求める声もあるというが、問題点が多いと言わざるを得ない。