新型コロナウイルス感染が妊婦に及ぼすリスクなどについて語る北脇教授(京都市上京区・京都府立医科大)

新型コロナウイルス感染が妊婦に及ぼすリスクなどについて語る北脇教授(京都市上京区・京都府立医科大)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、不安が広がっている妊娠中の女性たちに向けて日本産婦人科感染症学会が医学情報を発信している。学会理事の北脇城・京都府立医科大教授(産婦人科学)に、妊婦や胎児への影響などについて聞いた。

 -妊婦は感染しやすいのか。
 「感染率は一般の人と同じだ。妊婦だからかかりやすいということはない。重症化率も一般の人と変わらないとされている。過剰に心配することはない。ただ報告例が少なく、分からない面はある。妊婦は一般的に子宮が大きくなって横隔膜が持ち上がる。肺の換気機能が下がることが感染に影響する可能性がある」
 「新型コロナウイルスの治療薬候補として取りざたされている抗インフルエンザ薬『アビガン』は、胎児に奇形が出る恐れがあるため妊婦には使えない。治療薬が制限されることは不利だ」

 -妊婦が感染した場合の胎児や新生児への影響は。
 「感染によって胎児の異常や流産、早産、死産のリスクが高くなるという報告はない。ただ、胎内でうつる『垂直感染』はごくまれにあり、生まれてからうつる『水平感染』はときどきあるようだ。海外の事例を集めて新生児への感染率は4%ぐらいと推計した研究者もいるが、感染してもほとんどは救命できている」
 「中国やイタリアなど多くの国は、感染が確認された妊婦の出産方法を帝王切開にし、出産後すぐに新生児を母親との濃厚接触者として隔離している。経膣分娩(けいちつぶんべん)は長い時間がかかり、血液や羊水、痛みで叫ぶ妊婦の飛沫(ひまつ)が広範囲に飛散する。医療スタッフの感染リスクも高い。帝王切開なら通常1時間ほどで済み、新生児をすぐに母親と分離できる」

 -感染した可能性があるとき、妊婦はどうすればよいか。
 「妊娠初期・中期で妊娠の経過が安定していれば、自宅で様子を見て、妊婦健診の間隔を延ばすことも考えてほしい。37・5度以上の発熱が2日以上続く場合や強いだるさ、息苦しさがあるときは、帰国者・接触者相談センターに相談する」
 「妊娠末期は出産のタイミングなどを考えないといけない。出産場所は他の患者にうつらないよう、感染者を受け入れることができる病院になる。新生児とはウイルスが陰性になるまで面会せず、授乳もしない。京都府立医科大付属病院は、妊婦に出産直前にPCR検査を受けてもらい、陽性なら帝王切開することにした。その際の人員配置や動線を定めたマニュアルも作っている」

 -産科の受け入れ体制も変わってきている。
 「多くの施設が出産の立ち会いを断っている。急な転院や里帰り出産もやめてほしい。里帰りを希望するときは里帰り先の病院に可否を問い合わせてもらいたい」
 「正しい知識を持って感染予防を行い、働いている人は在宅勤務の活用などについて職場とよく相談してほしい」