一番茶の茶摘みを控える茶畑(京都府宇治市内)

一番茶の茶摘みを控える茶畑(京都府宇治市内)

 5月1日に八十八夜を迎え、新茶の収穫が最盛期となる京都府宇治市の茶農家で、新型コロナウイルスの感染拡大が「お茶摘みさん」不足に拍車をかけている。近年はもともと高齢化で人材難だったが、長年通う熟練者が感染を懸念して参加を見合わせるケースが出ている。茶農家は参加者同士の感染防止対策に注力するが、「感染者が出れば茶摘みがストップしかねない」と神経をとがらせている。

 高級茶の産地で知られる宇治市内の茶畑では、4月下旬から6月初旬に一番茶を丁寧に手摘みするのが伝統だ。季節労働のアルバイトのため、茶農家は朝から夕方まで従事しやすい主婦らを中心に、子どもが学校にいる時間帯のみ働く母親、未経験の定年退職者らを確保している。
 市内の茶農家24軒は各茶園の住所や連絡先を一覧表にしたチラシを配布し、お茶摘みさんを募集している。しかし今年は新型コロナの影響で外出自粛が要請されている。お茶摘みさんの作業も屋外とはいえ、近距離になりがちなため、「例年より集まりが悪い茶農家もあり、摘む時期を逃さないか不安という声を聞く」(府茶業会議所)。
 市内のある茶農家は「ベテランの数人が家族に基礎疾患があるとして今年は参加を見送り、痛手だ」と漏らす。参加者にはマスク着用や一定距離を置いた作業を指導する予定だが、「どこまで感染予防になるか見えない。1人でも感染者が出ると、収穫はどうなってしまうのか」と語る。
 府と府茶生産協議会などは一番茶生産におけるお茶摘みさんらの感染症対策を策定し、4月中旬から茶農家に周知している。作業前の体温測定や手の消毒▽マスクとゴム手袋の着用▽茶畑の覆いは側面を開けて換気▽休憩場所での間隔確保▽送迎車は車の定員より少なくして窓を開放―などを盛り込んだ。