外出自粛で家庭料理の機会が増え、スーパーの売り場などではハクサイやキャベツといった身近な野菜が売れている(京都市中京区)

外出自粛で家庭料理の機会が増え、スーパーの売り場などではハクサイやキャベツといった身近な野菜が売れている(京都市中京区)

4月15~18日の卸売価格の前年同月比比較

4月15~18日の卸売価格の前年同月比比較

 新型コロナウイルスの感染拡大が、生鮮食品の価格を揺るがしている。自宅で過ごす時間が増えて、家庭で使いやすい野菜は軒並み値上がりする一方、営業自粛のあおりを受けた料理店向けの野菜や鮮魚などの高級食材は大きく値崩れしている。生産者や仲卸業者は、浮き沈みする価格に振り回されている。

 京都市中央卸売市場(下京区)によると、4月15~18日の卸売価格は前年同期と比べ、キャベツが67%、ハクサイが50%、小松菜が46%上昇。外出自粛の広がりやテレワークの浸透、学校休校などによって家庭で食事を作る機会が増えたためとみられる。暖冬による豊作で、野菜価格が安値で推移していた今冬からは一変した格好だ。

 暖冬で食卓から遠ざかった鍋にも注目が集まっているようだ。京都生活協同組合(南区)では、鍋向きのハクサイやキャベツなどが売れている。広報担当者は「手軽に作れて洗い物も簡単だからでは」と推測する。

 一方、市場では休業を余儀なくされた料理店や宿泊施設向けの食材が振るわない。万願寺とうがらしは49%、タケノコは37%も前年から値を下げた。

 京都青果合同(下京区)によると、和洋中のメイン料理を彩るつま野菜なども下落。通常は1キロで1万5千円ほどの生わさびの価格は5千円を割り込んでいるという。「多くの料理屋やホテル、旅館が営業しておらず、高級な食材や季節ものほど売れない」(担当者)とため息をつく。

 値崩れがより深刻なのは鮮魚だ。同市場での15~18日の卸売価格の落ち幅は、マアジ73%、アナゴ54%、サワラ50%などで、主要品目の平均単価は3割近く前年を下回る。「ここまでの値崩れは初めて」(同市場)というほどの異常事態に、大水京都支社(下京区)は「スーパー向けのサバやイワシなど青魚はまだ売れているが、料亭やホテル向けの高級魚の下落が特にひどい」と話す。

 日本海の好漁場ではこの時期、マダイやスズキなどが捕れ、旬の味で多くの人を楽しませる。しかし、地元の漁師は思うように値が付かない現状に不安を募らせている。

 定置網漁業を行う京都・丹後のある水産会社の社長は「4月から高級魚や活魚は極端に値が下がった。新型コロナの感染拡大がこれ以上長引けば、漁の回数を減らすことも検討しないといけない」とこぼした。