折田医院月報の33年8か月の思い出を語る折田雄一さん(近江八幡市桜宮町・折田医院)

折田医院月報の33年8か月の思い出を語る折田雄一さん(近江八幡市桜宮町・折田医院)

 滋賀県近江八幡市池田町の元開業医、折田雄一さん(85)が33年8カ月間発行してきた「折田医院月報」が、3月末の閉院とともに最終号を迎えた。月報は医療用語の解説や自身の闘病体験をつづり、患者の質問にも優しく答えてきた。人柄がにじむ内容が評判で、通院した市民らから惜しむ声が上がっている。

 折田さんは同市のヴォーリズ記念病院などを経て、1980年に開業。患者が増え、一人一人に向き合う時間が限られることに悩む中、「治療の糧にしてもらいたい」と月報を企画。86年7月から毎月約1千部を発行した。
 高血圧やインフルエンザなど、相談の多い身近な病気の治療や予防法の記事も多い。医師がよく使う「血栓」という言葉も「血液がねばつき、詰まる」と表現し、読み手の理解を助けた。
 「診療待ちの順番」や「毎日、薬を飲むのが難しい」といった患者の疑問や悩みにも誠実に回答する。「老いとともに寝たきりになるのが怖い」という声には、折田さん自身、勉強し直し、食事や車いすの活用など具体的な対策を4号連続で掲載した。社会問題や教育にも話題を広げ、幅広く興味を持てるよう心掛けた。
 69歳で自身が大病を患った際には、月報を毎回保存してくれるファンの姿を思い返し、「患者とつながる大切な懸け橋」と休まず発行を続けた。開業医の死とともに閉じていく病院が多く、80代に入った折田さんも自らを重ねた。患者に安心して生きてもらいたいと、他院への紹介状を450人分書き、閉院を決めた。
 最終号の405号には、患者との思い出や感謝をつづった。折田さんは「約34年、やりきった。今も手紙で、惜しむ声をもらう。ずっと続けてきて良かった」と晴れやかに語る。