中学の部活を目的に「越境通学」をするケースがあるという

中学の部活を目的に「越境通学」をするケースがあるという

 京都市の市立中で、部活動を目的に通学区域外から「越境通学」する生徒がいるため、地元の子どもたちが試合になかなか出られない-。そんな意見が京都新聞社の双方向報道「読者に応える」に寄せられた。取材を進めると、指導経験豊かな部活顧問の指導を受けるため、競技力の高い生徒が居住地を偽って越境通学するケースが過去から存在することが分かった。背景には公教育における部活動の存在の大きさがあり、専門家はあり方を見直すべきだと指摘する。

 「高校の推薦などにも関わるし、環境の良い学校に通わせたいと考えた」。京都市内の保護者は数年前、子どもが小学生の時から関わりのあった部活動顧問がいる中学校に子どもを越境通学させていたと明かした。「公立と言っても、部活は学校によって指導力の差があるので」と理由を説明し、「私たちは学校を選べないし、不公平だ」と思いを述べた。

■「地元の子が試合出られない」

 別の保護者=同市内=は、子どもが現在通う市立中で越境通学者が特定の体育会系部活動に多数いると聞いた。「大半が小学生の頃からそのスポーツをやっている経験者で、部活動顧問は実力のある生徒を公式戦に出場させることが多い。中学から部活動で始めた地元の子どもは、試合に出られなくなる」と憤る。

 市教育委員会によると、越境通学は難聴学級への就学など許可した場合に限り認めているが、部活動や学校の指導力などを理由に校区外の小、中学校に通うことは禁じている。では、どうやって越境通学が行われているのか。

 子どもを越境通学させていた友人から話を聞いたという保護者は「中学校入学のタイミングで校区内に引っ越すと学校に偽った申し出をし、校区内にあった親戚の家に住民票だけ移したようだ。普段は校区外の自宅で生活し、家庭訪問時だけ親戚の家で対応したと言っていた」と話す。

■「居住の事実確かめている」

 一方、越境通学者が多いとされている中学校の校長は「中学入学時に校区内への転居の手続きを取った1年生は約20人いたが、事前に書類や保護者への面談で住居を確認した。入学後は家庭訪問をして居住の事実を確かめている。越境通学はない」とする。

 市教委は「部活動を目的とした越境通学が発覚した場合は、本来通うべき中学校に戻ってもらうよう指導する」と説明するが、保護者らは「実際は学校が黙認状態」と不満を募らせている。

 部活動の問題に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「部活は本来、スポーツや文化活動を楽しむ機会を保障するためのものだが、過熱して競技志向になっているため、このような問題が起こる。地域のスポーツチームで活動できる仕組みをつくるなど、部活を学校から切り離す必要がある」としている。