京丹後市長選で、前市長の中山泰氏が返り咲きを果たした。「地方創生充実」を訴え、現職の三崎政直氏を含む4人が立候補した激戦を制した。

 中山氏は過去に3期市長を務めた。一般に多選は批判されるが、有権者はまちの将来をもう一度託すことにした。中山氏はその重みを謙虚に受け止め、期待にこたえなくてはならない。

 中山氏を再び市政の場に戻すことになったのは、まちの停滞感に有権者が危機意識を抱いたからだといえるだろう。

 三崎氏は前回選挙で、当時の中山市政を批判して当選した。だがエコエネルギーセンターの廃止や、市役所峰山庁舎の増築凍結などは決まったものの、まちの将来像に十分な展望を示せなかった。

 中山氏のリーダーシップに改めて期待がかかるが、一方で、その政治手法が「独断専行」との批判も招き、前回の落選につながったことも忘れてはならない。

 「市民や市職員との間で、意思疎通が取れていたか、反省しなければならない」と中山氏自身も繰り返し話している。

 もっと対話を重視し、住民や組織の力を生かした市政運営が求められる。小さな自治体なら、なおさらだろう。4期目はこの教訓からスタートしてほしい。

 任期中には、2004年の合併から20年を迎える。だが、市の現状は厳しさを増している。

 人口は約5万4千人で、合併時から1万人以上減った。限界集落と準限界集落の地区も全体の7割を超える。過疎高齢化や生産年齢人口の減少は市の財政基盤を揺るがしている。

 中山氏は「かせぐ地方創生」を掲げ、ふるさと納税を使って自主財源を増やすとともに、返礼品やサービスの充実を地域経済の発展につなげたいとする。

 産業振興については、先端技術を持つ全国の企業や大学と連携し、地元企業と先進的な産業づくりを進める、という。

 こうした提案に有権者の注目が集まった。だが目標を打ち出すだけでなく、限られた人材でいかに優先順位をつけて取り組むか、丁寧に説明する姿勢が必要だ。

 京丹後市は豊かな自然に囲まれ、丹後ちりめんに象徴される多彩な文化も息づく。山陰近畿自動車道の延伸を生かし、観光や産業の拠点づくりが求められる。

 住民の理解と協力を得ながら、課題にどう取り組むか。中山氏の手腕と姿勢に期待したい。