浄土宗が取りまとめた法要ガイドライン

浄土宗が取りまとめた法要ガイドライン

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、法要に際して僧侶が配慮すべきことをまとめる動きが仏教界で相次いでいる。ウイルスによる感染症で亡くなった場合は通常通りの通夜や葬儀が難しいことも想定されるためだ。感染予防を徹底しつつ遺族の心情に寄り添い、差別や風評被害が起きないよう留意を求める宗派が多く、突然に「最期の別れ」を迎える遺族をどう支えるかの模索が続いている。

■通常と異なる看取りに困惑も「受け入れる過程大事に」

 浄土宗(総本山・知恩院、京都市東山区)は4月上旬、全国約7千の末寺の僧侶に向けて葬儀や法要の際の指針となるガイドラインを発表した。感染拡大が収まらない中では、地域や葬儀社によっては会館が使用できなかったり先に火葬を勧められたりすることも考えられるため、「火葬後葬になった場合にも、火葬前葬と同様の方法でご遺骨の前で枕経・通夜・葬儀を営むことをお願いします」と呼び掛けている。

 厚生労働省のホームページによると、遺体が非透過性納体袋に収められ、密封されているなら特別の感染防止策は不要で、遺族が遺体の搬送を行うことも問題はないとしている。ただ、通常とは違う形の看取(みと)りや見送りとなるため、僧侶の間でも戸惑いは大きい。

 「亡くなった直後、まだ布団に寝ておられる時に最初の枕経を唱える。その時には『死』の実感がわかない遺族も少なくない。通夜、葬儀と3日間かけて次第に受け入れてゆくのではないか」。ゆっくりと別れを惜しむことが難しい場合、遺族が死を受け入れるプロセスにどう寄り添うか。右京区の転法輪寺住職の兼岩和広さん(49)はガイドラインの必要性を早い段階から宗派に働きかけてきた。

 「保健所や葬儀社と情報交換ができるなら、何ができて何がだめなのか正しい知識を得られるが、まずは宗派としての見解が必要だと思った」と語る。「最期にひと目会いたかった触れたかった、との思いがかなわなかった遺族といつ出会うかもしれない。その時にどう支えられるかが問われていると思う」

■仏教の教え「死は終わりではない」

 亡くなる直前まで手を尽くした医療が行われる今、「死んだら終わり」と思う人が多いのではないか、とも憂う。「仏教の教えでは死は命の一つの区切りではあっても決して『終わり』ではないと伝えたい」と兼岩さん。「今回の感染拡大により、死が身近にあると感じた人も多いのではないか。このような時だからこそ、死や命のことについて日頃から考えてもらえるよう宗教者として努力しなければ」と話す。

 真宗大谷派や日蓮宗も宗派のホームページなどで法要の際の指針を発表した。また、仏教の59宗派や37都道府県仏教会など計106団体が加盟する全日本仏教会は理事長談話として、感染防止のための衛生対策に尽力したうえで遺族の意向を尊重し、気持ちに寄り添った対応をするよう加盟団体に求めている。