国際観光旅客税(出国税)の徴収が始まった。

 日本から出国する全ての人に1人千円が課される。恒久的な新しい国税の導入は1992年の地価税以来、27年ぶりとなる。

 日本を訪れる外国人は2018年末に3千万人を超えた。日本人の出国者は1800万人を上回る。政府は毎年500億円の税収を見込んでおり、新たな財源で19年度から訪日客の受け入れ環境整備を強化する計画だ。

 新税は観光振興が目的の特定財源となるため、当初から無駄遣いの懸念が指摘されている。年間500億円を適切に使えるのか。監視する仕組みが必要になる。

 一般的に、観光振興事業の効果は数値化しにくく、検証は難しい。人気を集めても長続きするとは限らない。結局、「箱もの」の建設や効果のはっきりしない情報発信に税金が投入されないか。費用と効果を評価する仕組みをどう作るかが、問われよう。

 気になるのは、政府が使途として、快適な旅行環境の整備や日本の魅力発信、旅行者の満足度向上の3分野を挙げていることだ。訪日客を対象とした政策に重点が置かれる可能性が高い。

 政府の計画では、全国100カ所の観光地を選び、観光施設への多言語翻訳機の配備や公衆無線LANの整備、トイレの洋式化などに補助する。

 文化財などを活用し日本の歴史や文化を体感してもらう事業や、展示、解説の充実なども想定している。

 訪日客が快適に旅行するための環境整備は重要だが、訪日客を支える国内の受け入れ環境の整備を忘れていないか。

 特に京都では、急速な外国人観光客の増加で、観光地周辺で道路渋滞や交通機関の混雑が深刻になっている。

 観光の隆盛が一般の人の暮らしに大きな影響を与えている。観光振興がもたらす副次的な問題の解決にも新税を利用してほしい。

 昨年4月に根拠法が成立してから約8カ月が経過しているが、観光庁の取り組みの遅さが目立つ。

 新税は出国する日本人や日本在住者にも課される。政府は、顔認証で出入国審査するゲートの増設などに使うとしているが、その程度では日本の納税者へのメリット還元として不十分だろう。

 地域住民が訪日客と共生してこそ、魅力ある観光地になる。具体的施策はしっかりと点検し、使途を再考するべきだ。