米相場の立った大阪・堂島は、日本で一番厳しい商いをしていたそうだ。商機を探る人々は、何かにつけ験を担ぐ。そこに米を水から揚げる「米揚げいかき(ざる)」との売り声が聞こえてきたら…▼米価の上昇を感じ取った相場師の旦さんは、売り子を呼び止め、祝儀を弾んだ。「揚げる、上がる」を連呼され、別荘や大阪城まで「あげる」といいだす。いかにも上方落語らしい一節である▼経団連など経済3団体は、現代の旦さんの寄り合いといえよう。先の新年祝賀会の際、旦さんの中の旦さんである中西宏明会長は、米中貿易摩擦の影響を警戒しながらも、「景気の先行きは悲観していない」との認識を示した▼今年はほかにも、英国の欧州連合(EU)離脱問題やトランプ米政権の混乱など、海外のリスクが山積する。これらをにらんで、金融市場は不安定なスタートを切った▼国内では原材料費や物流費などが上がりそうで、10月には消費税率が引き上げられる。いずれも、「上がる」と言いながら、消費マインドを押し下げる。年明け早々とあって会長は、験の悪い話を避けたようだ▼さて「米揚げいかき」に喜ぶ旦さんを、番頭さんは、それだけでは身代がつぶれる、といさめた。ざるで水をくむような見当違いにならないか、心配したのだろう。