東京電力が新潟県の柏崎刈羽原発の地元、柏崎市に対し1~5号機の一部を廃炉にする可能性があることを伝えた。

 ただし、東電が熱望する6、7号機の再稼働を認めることが条件だ。

 さらに、計画中の東通原発(青森県)や、千葉県銚子沖の洋上風力発電の完成などで、非化石燃料の電源が十分に確保される見通しが付くことも前提にしている。

 柏崎市長が6、7号機の再稼働を認める条件として、1~5号機のいずれかの廃炉計画を求めており、東電はこれに回答した。

 しかし、具体的に何基をいつまでに廃炉にするのかなど、柏崎市が求めていた事項は盛り込まなかった。

 「6、7号機の再稼働後5年以内に、1基以上の廃炉を想定する」と極めてあいまいである。

 東電幹部は「必ず廃炉にしますと約束をしたわけではない」「代替電源があれば、1基以上の廃炉の余地はあるのではないか」と話している。

 廃炉にさせたいなら再稼働を認めろ、と言わんばかりだ。過酷事故の反省はどこに行ったのか。こんな姿勢で再稼働を求めても、国民の理解は得られまい。

 柏崎市長は「平均点までいっていない」「(再稼働の)ゴーサインの判断はできない」と不満を示した。

 地元住民の安全を第一に、厳しい態度で臨んでほしい。

 東電が6、7号機の再稼働に前のめりなのは、原発で火力発電の燃料代を節約でき、一定程度の収益改善が見込めるからだ。

 福島第1原発事故の賠償や廃炉の費用は22兆円以上とされ、東電は16兆円を負担する。

 経営再建のため、当面は原子力規制委員会の審査をクリアした6、7号機を再稼働させるが、いずれは1~5号機も動かしたい。廃炉に後ろ向きな姿勢からは、そんな本音が透けて見える。

 しかし、原発はもはや低コストではなくなっている。原子力規制委は電力各社に厳重なテロ対策を施すよう指示しており、その費用は柏崎刈羽だけでも1兆円を超える。原発への固執は経営を圧迫するだけではないか。

 東電は原発を「温室効果ガスを出さない」とPRする。だが実際には、原発の建設や廃炉、ウラン採掘や運送などの過程で大量の二酸化炭素を排出する。大手電力も同様の主張をするが、誤った情報発信はやめるべきだ。