金融政策として非常手段であることを忘れてはならない。

 日銀が追加の金融緩和策を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府の経済対策の財源を賄うため国債買い入れの上限を撤廃するほか、企業の資金繰り支援のため社債などを大量に購入するとした。

 3月に続く緩和拡大だ。大量の資金を市場に供給できる態勢を整え、厳しさを増す日本経済をより下支えする姿勢を示す異例の措置といえよう。

 追加策の背景には、感染終息が見通せず、経済活動の停滞が長期化することへの危機感がある。

 日銀は、量的緩和策で国債保有残高の増加幅の上限を年間約80兆円まで段階的に引き上げてきた。

 実際の増加額は20兆円に満たないが、緊急経済対策は25兆円超の赤字国債発行で賄われる。大幅増発に加え、長引く事態に追加の財政出動も否定できない中、あらかじめ日銀が無制限に買う方針を明確にしておけば急激な金利上昇を防げるという考え方だ。

 国債の無制限購入は米連邦準備制度理事会(FRB)も打ち出している。欧米の中央銀行と歩調を合わせ、輸出企業に不利な円高圧力を和らげる作用もあろう。

 だが、日銀が際限なく国債を買い入れることは、国の借金を事実上肩代わりする「禁じ手」とも受け取られかねない。中央銀行としての信認が揺らげば、金利の急騰などを招く危険性があり、慎重なかじ取りが欠かせない。

 政府の財政規律が有名無実化する恐れもある。景気を支えつつも、先進国で最悪状態とされる財政が歯止めなく悪化する事態は避けねばならない。

 そもそも国内の現況は、感染封じ込めのため人々の外出や企業活動の制限が続く。市中に大量のお金を注ぎ込んでも消費や生産を活発化する好循環は望みにくい。

 単なるバラマキではなく、本当に困っている国民や企業の支えとして可能な限り効果的なものであるべきだ。

 前回緩和した上場投資信託(ETF)に加え、今回も大企業の社債などの購入枠拡大を盛り込んだ。中小・個人業者らへの資金繰り支援策では、融資用の資金を金融機関に金利ゼロで貸し出す制度を拡充し、地方銀行や信用金庫も使いやすくしている。

 大事なのは、支援制度が十分に活用され、苦境に立つ業者の事業継続や雇用の維持に実効性を伴うことだ。手続きの迅速化や柔軟できめ細かな対応も求められる。