天皇陛下の即位とともに令和が幕を開けてから、あすで1年になる。

 天皇の代替わりに伴う一連の儀式は、秋篠宮さま(54)が皇位継承順1位の皇嗣(こうし)になられたことを国内外に示す「立皇嗣(りっこうし)の礼」が残っている。

 令和の皇室で皇位継承資格を持つ皇族は3人のみになった。皇室典範で継承資格が「男系男子」に限られているためで、皇嗣となる秋篠宮さまより若い世代は、その長男の悠仁さま(13)しかいない。

 天皇は憲法が定める「国民統合の象徴」である。細る皇統をどうつなぎ、皇位を安定的に継承していくのか。国民的な議論を深めるべき課題だ。

 2017年6月に与野党の合意で成立した退位特例法は、付帯決議で「安定的な皇位継承の確保」や「女性宮家の創設等」を代替わり後、速やかに検討するよう政府に求めている。

 早急に検討に取り組み、国会に報告する必要があるが、この間の政府の姿勢は消極的と言わざるを得ない。

 政府は当初、皇位継承策を協議する有識者会議を昨秋にも設ける方針だったが、非公式な意見聴取に変更し、継承策の議論は今月に予定されていた立皇嗣の礼後に先送りした。その立皇嗣の礼も、新型コロナウイルスの感染拡大で延期になり、議論開始の見通しは立っていない。

 皇位継承策で大きな論点になるのは、継承資格を女性皇族や父方の血筋が天皇とつながらない女系に広げるかだ。

 国民の間では女性・女系天皇を認める意見が多数を占めている。共同通信が3~4月に実施した世論調査では、女性天皇を認めることに85%が賛成し、女系天皇にも79%が賛意を示している。

 一方、安倍晋三首相は昨年10月の参院本会議で「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ、検討する」と従来の答弁を繰り返し、女性・女系天皇への拡大に慎重姿勢を崩さない。

 自民党内などの保守層には男系維持を求める声が根強く、反発を避けたい狙いがあるのだろう。

 政権内には「与党でさえまとまる環境にない」として、結論を出せるのは数十年先になるとの見方もあるという。責任を放棄したとしか思えない。

 国会や世論を二分する論争だが、その議論を避けるようでは政府の怠慢と言われても仕方ないだろう。国民が議論を深められるよう、早急に継承策の検討を進めるべきだ。国会も政府に早急に検討を促す必要がある。

 皇位継承者だけでなく、皇室全体も縮小している。皇室は現在18人で構成され、このうち未婚の女性が6人を占める。

 皇室典範は、女性皇族は結婚すると皇籍から外れると定めている。数十年後には皇族がほとんどいない事態も予想され、公務の担い手が不足することも懸念される。

 皇室全般のあり方について、もはや議論を先送りできる状況にないことは明らかだ。