席数を半分に減らした食堂で、間隔を空けて夕飯を食べる湖国寮の寮生たち(東京都武蔵野市)

席数を半分に減らした食堂で、間隔を空けて夕飯を食べる湖国寮の寮生たち(東京都武蔵野市)

 滋賀県出身の学生らが住む「湖国寮」(東京都武蔵野市)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている。緊急事態宣言を受けて、約半数の学生が寮に残っているが、相部屋や食堂など共用部分が多く、感染防止に工夫を凝らす毎日だ。実家から十分な仕送りをもらえない学生もいて、アルバイト先の休業などで経済的に苦しむ問題が生じており、行政への対応を求める声が上がる。

 湖国寮は首都圏で学ぶ学生向けに、県や財界人が出資して1954年に開寮した。卒寮生には三日月大造知事もいる。現在は公益財団法人「湖国協会」が運営し、2012年に新築した鉄筋5階建てに男女76人が入居する。部屋の広さは約24平方メートル。料金は朝、夕2食付きで1人使用は月額8万2千円、2人使用なら6万5千円。4月下旬時点で約40人は帰省せず、寮にとどまっていた。
 入居者がいる54部屋のうち23部屋は相部屋で、早稲田大4年の北川喜槻さん(23)もその1人だった。大型連休は草津市の実家に帰るつもりだったが、東京都と滋賀県がそれぞれ往来自粛を呼び掛ける中、家族への感染回避や就職活動への支障を考え、控えた。部屋でルームメートと過ごしているが「(感染予防に効果的とされる)2メートルの距離を取ることは不可能」と話した。
 朝、夕の食事は規定の時間内に食堂で取ることになっている。感染防止対策として長時間の会話や向かい合わせの席を避ける張り紙を掲げたり、通常の36席を半分に減らしたりした。発熱など疑い症状のある学生が出た場合のために、隔離できる部屋も備えている。
 元中学校校長で滋賀県学校保健会副会長を務めた植田公威寮長(61)は「感染者が出たら寮自体を閉鎖することになる」とルールの順守や外出自粛を促す。北川さんは生活費に充てるため近くのコンビニで週2回深夜アルバイトをしているが、4月いっぱいでやめることにした。「1人が感染したら寮のみんなに感染する。そう考えると、アルバイトには行けない」との思いもあったという。
 ただ、奨学金を受給する学生も少なくなく、講師をしていた学習塾の休業に伴い、スーパーのレジ打ちやファストフード店にアルバイト先を変更するケースも出ている。保護者からは、納入した半年分の寮費について未入寮や帰省して在寮していない期間分を差し引いてもらえないか、との相談もあるという。
 植田寮長は「寮から出るなと言っても、授業料や寮費、生活費が必要な学生はアルバイトに出て行かざるを得ない。行政や大学はスピード感を持って一定の補償を考えてほしい」と感染拡大防止の観点から訴えている。