政府は新型コロナウイルスの感染増加に対応する緊急事態宣言について、5月6日から1カ月程度延長する方向で調整に入った。

 1日にも専門家会議を開いて意見を聴取し、安倍晋三首相が5日までに判断する。対象地域は全都道府県を維持する案を軸に検討するという。

 感染拡大は依然として歯止めがかかっていない。感染者数の増加には鈍化傾向もみられるが、死者数が増えているのが気がかりだ。医療現場の過酷な状況は続いている。

 現時点で延長はやむを得ないだろう。だが国民の自粛疲れ、経済への影響が深刻さを増していることを見過ごすことはできない。

 なぜ延長なのか。政府には国民の理解と協力を得るための努力がより求められよう。

 これまでは科学的根拠を示しながら国民に分かりやすく説明する姿勢に欠けていたのではないか。情報提供も十分とはいえない。

 特に安倍首相は、政権トップとして自身の言葉で丁寧に伝えようという意識が希薄だった。

 延長が1カ月程度で済むかどうかも不透明だ。ずるずると延長を繰り返すようでは、問題の先送りと変わらない。

 各国で経済活動再開などの動きが出始めている。どのような状況になれば解除が可能になるのか、「出口」について具体的な目安がなければ、国民の不安は高まるばかりだ。

 緊急事態宣言は4月7日に7都府県で出され、16日に全国へ拡大された。人の往来の抑制に一定の効果は上げているといえる。

 だが根拠となる新型コロナ特措法は制度自体に曖昧さと危うさを抱えており、混乱も招いた。

 大阪府などで一部のパチンコ店が知事の休業要請に応じず、店名公表などの事態となった。

 西村康稔経済再生担当相は法改正で罰則規定を検討すると発言した。だが、私権の強い制約を伴う事実上の休業強制となる。慎重であるべきだ。

 政府が検討すべきなのは、罰則よりも補償の在り方ではないか。休業要請に応じた飲食店への協力金支払いなど、財政負担が自治体の頭を悩ませている。

 政府は自治体向けに創設する1兆円の臨時交付金を財源に充てることを認めたが、地方側は不足を懸念している。

 宣言が長期化すればするほど、財政状況が厳しい自治体はさらに追い込まれかねない。宣言を延長するなら支援拡充は不可欠だ。