庭先で位はいに向かって読経する菅原さん。家に入らないことで感染リスクは下げられると考える(菅原さん提供)

庭先で位はいに向かって読経する菅原さん。家に入らないことで感染リスクは下げられると考える(菅原さん提供)

 新型コロナウイルス感染で緊急事態宣言が出されて以降、伝統仏教の僧侶が檀家や門信徒宅で読経する月命日の法要「月参り」を断る家が増え、寺の収入に深刻な影響を及ぼしている。全ての月参りを中止する寺がある一方、独自の工夫で継続する寺もあり、多くの僧侶が苦悩している。


 月参りでは家の仏間に上がって読経するため、檀家や門信徒の近況を知ったり寺からの情報を発信したりする機会にもなっている。
 
 近距離での会話が伴うため、大阪府内の浄土真宗本願寺派の寺では緊急事態宣言を受けて月参りを中止したという。通常なら1カ月で約200件のお参りがあるが、中止によって月参りからの収入はゼロになった。住職は「万が一でも、私が感染源になって門徒さんに迷惑をかける可能性を考えれば、今はとてもできないと思った」と語る。ただ、緊急事態宣言が長引くことになれば「1カ月ぐらいなら収入がなくても何とかなると思ったが、さらに続くならば収入減は深刻だ」と悩む。
 
 京都市上京区の浄土宗寺院・浄福寺住職の菅原好規さん(63)は4月下旬、屋外での月参りを始めた。家には入らず、庭先や玄関など檀家が希望する場所から仏壇に向かってお経を唱える方法に喜ぶ檀家も多かったという。「江戸時代以前は多くの僧が野外で布教活動をしていたことを思うと、家の外での読経は何ら不自然なことではない」と菅原さん。「棚経」と呼ばれる盆のお参りも屋外での実施を提案したいと考える。
 
 「寺離れ」が言われるなか、月参りは寺と家庭を結ぶ入り口の役割も担ってきた。今回の自粛を機にコロナ終息後も月参りの習慣そのものをやめてしまう家が出てくる可能性もある。京都市内の浄土宗僧侶は「寺の価値や檀家さんとの関係性が問われていると思う」と語る。