スーパーに並ぶ生鮮食料品。食品を介した感染リスクは低いとされている(京都市中京区)

スーパーに並ぶ生鮮食料品。食品を介した感染リスクは低いとされている(京都市中京区)

 新型コロナウイルスの感染が、食品産業の事業所でも起きている。京都府内ではパン工場や卸売市場で確認された。ただ、食品産業は食料の安定供給の役割を担っていることから、国の指針に基づき業務を継続している。食品を介した感染も現時点では報告がなく、専門家は冷静な対応を呼び掛けている。

 山崎製パン(東京都)は4月下旬、京都工場(宇治市)勤務の従業員の陽性判明をホームページで知らせた。その中で食品を介した感染報告はないと厚生労働省が発表していると説明し、「どうぞご安心ください」と呼び掛けた。

 同社は「商品は大丈夫かと問い合わせもあったが、パンは主食の一つであり、国の指針に沿って保健所の指導に従い消毒した上で稼働を続けている」とする。

 農林水産省は、食品産業事業者の従業員に感染者が発生した時のガイドラインで、保健所への報告▽濃厚接触者の14日間の出勤停止▽設備の消毒-などを求める。その上で、適切な衛生管理がされていれば操業停止や食品廃棄などの必要はないとしている。同省は「食品事業者は食料を安定供給する重要な役割があるため、保健所の指導の上で業務を継続してもらいたい」(食品流通課)とする。

 消費者からは食品や包装を介した感染を心配する声も一部であるが、ウイルス学が専門の京都府立医科大の中屋隆明教授は「新型コロナウイルスは、食中毒菌とは違い、野菜や果物、魚、肉などの食品上で増えることはない。仮に、感染者が触って食品に付着してもよく洗えば対応できる。肉や魚も加熱すれば感染力はなくなる。ノロウイルスのように怖がる必要はない」と冷静な対応を求める。

 その上で「ラップやトレーなどの包装に感染者の飛沫(ひまつ)が付着した場合は、家庭にある漂白剤やアルコールなどで包装ごと消毒、洗浄すればほぼ大丈夫だ。購入者が手を洗うことも重要だ」と説明する。

 鳥肉や豚肉を通じた感染も「心配はない」とし、「もし生鮮食料品店などで感染者が出ても、店舗を消毒した上で他に発症者がいなければ、営業再開しても問題ないと考えられる」としている。