メッセージを発信したバザールカフェ。狭間さん(左)や松浦さんらスタッフが文言を練り上げた=京都市上京区

メッセージを発信したバザールカフェ。狭間さん(左)や松浦さんらスタッフが文言を練り上げた=京都市上京区

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、エイズウイルス(HIV)陽性者や外国人住民らの居場所として活動してきた京都市上京区のカフェ「バザールカフェ」が、メッセージをホームページ(HP)に掲げた。感染症を巡って差別が繰り返された過去の教訓を踏まえ、生きづらさを抱える人と伴走を続けるスタッフたちが文言を練り上げた。

 感染症は(中略)「病気」だけでなく「不安」と「偏見」も引き連れてきます。今回もまた、そんな状況が起きていると感じます


 新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす差別への危機感がにじむ。スタッフの狭間明日実さん(27)は、開示された感染者情報を悪用して個人を特定し、特定の属性に中傷の矛先が向く動きを案じる。「排除の対象を明確化させて自らを安心させる。そんな危うい言説は今も存在する」
 バザールカフェの活動は1998年、HIV陽性者らが病気や仕事について安心して語れる場をつくろうと、キリスト教関係者やアーティスト、医療従事者などが始めた。就労の場を提供するために翌年には、同志社大近くの宣教師館でカフェ営業を始めた。
 「病気」であるはずのHIVが、「不安」に煽(あお)られた人々によって、特定の人たちや地域に対する「偏見」のまなざしを生み排除や差別につながりました
 文中では、HIV感染者の多かった中米ハイチの人や同性愛者、薬物使用者が、それぞれひとくくりに危険視され、差別に結び付いたと説明する。
 当時の感染者が置かれた厳しい状況も反映している。治療に伴う失職や解雇。身近な人にさえ言えない孤独。マスコミ報道が世間に植え付ける恐怖心。カフェは、同じ立場同士で集まれる場所がなかった患者会の集いに、スペースを提供していた。
 カフェは今も、依存症など生きづらさを抱えた人が寄り合う拠点になっている。長年運営に携わる松浦千恵さん(38)は「当たり前に隣にいる多様な背景を持つ人と、一緒に生きるためのチャレンジをずっと続けてきた」と語る。
 しかし、同店も感染拡大を踏まえ、苦渋の選択で4月上旬から営業を休止した。「人と人のつながりが断たれ、孤立に追い込まれる恐怖を、いかに想像できるのか。私たちもまた問われている」。居場所として役割を果たせるように準備を進めている。
 宛先を「世界中の皆さまへ」と記したメッセージは後段で、こう提言する。
 でき得る限りの感染予防を心がけていても、何らかの形でウイルスに感染してしまうことは起こり得る
 今こそ、自分はどのように行動したらいいのか、感染した人に対してどのように接したらよいのかということを一人ひとりが考えなければならないと思います
 メッセージ作成の過程や活動の方向についてホームページで発信する予定。問い合わせはバザールカフェ075(411)2379。