感染の封じ込めが一段落したことを、国内外に印象づけたいのだろう。

 中国が、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた全国人民代表大会(全人代=国会)を、22日から北京で開くと決めた。国営通信の新華社が伝えた。

 全人代は、その年の主要政策を打ち出す重要な会議である。例年は3月5日から開かれていたが、今年は延期され、その後の日程が決まっていなかった。

 遅れたとはいえ、感染対策が実際に効果を挙げて開催できるのなら、意義深いことである。

 これを契機に習近平指導部は、政策の軸足を経済活動の正常化や外交に移すとみられている。

 感染拡大のさなかにあり、企業業績の悪化する日本経済にとっても、よい知らせだと受け止められるのかもしれない。

 ところが、例年なら公表される経済成長率の目標値は示されない可能性があるようだ。

 中国は、2020年の国内総生産(GDP)を10年比で倍増させる計画を掲げてきたが、それには今年、前年比6%増近くの成長が必要とされている。

 新型コロナによる生産と消費の停滞で、20年1~3月期のGDPは、前年同期比6・8%減と、四半期ベースで初のマイナスとなった。

 このため、計画に沿った目標値の設定は、非現実的だとする認識が広まっている。

 また、08年のリーマン・ショック後には4兆元(約60兆円)規模の景気刺激策を打ち出したが、生産能力は過剰となり、地方政府の債務が膨張するなど、負の遺産をつくってしまった。

 このことは今回、巨額の経済対策実施に、慎重な姿勢がみられる要因とされている。

 米国に次ぐ経済大国の中国には、冷え込む世界経済をけん引してほしいが、そのために力を発揮できるのか、不透明な状況だ。全人代の動向を注視したい。

 新型コロナを巡る中国政府の対応については、欧米など各国から疑問の声が上がっている。トランプ米大統領は、初動の遅れが世界的な大流行につながった、と強く非難している。

 都市封鎖など厳しい措置に耐えてきた中国の国民は、感染拡大の真相を知りたいと思っているはずだ。全人代が、感染の封じ込めを誇るだけでなく、内外から求められる情報公開に応じる場となることも望みたい。