オンライン授業の収録の様子を実演する花園大の師茂樹教授(京都市中京区)

オンライン授業の収録の様子を実演する花園大の師茂樹教授(京都市中京区)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、京都の各大学はオンラインでの授業を導入している。通常の授業が当面かなわない中、大学教員は手探りで新たな講義の形を探っている。学生も現状に対応しようとしているが、オンライン授業に伴い機材の購入が必要になるケースがあり、支出の補償を求める声が聞かれる。

 辞書の上にはカメラが置かれ、そばには顔を照らすライトが置かれている。「動画配信用に一人で授業するのは思いのほか疲れる」。花園大で人権論や仏教学を教える師茂樹(もろしげき)教授は苦笑いする。

 花園大学では4月8日からオンライン講義を始めた。師教授は花園大学でオンライン講義を統括し、教員向けに動画授業の収録の仕方や注意点などのマニュアルも作成した。「1回90分の授業のうち、すべて動画で語るスタイルは学生が持たない。途中で課題などを挟むようお願いしている」と語る。

 師教授は27日までに約20コマでオンライン講義を実施したが、限界を感じることもあるという。「課題を出すだけではモチベーションは上がらない。大学に来るから勉強に集中できる」と話す。教員養成などのコースでは実習ができていない問題もある。「先輩から新たな授業の内容を聞いたり、図書館にこもって勉強する友人に刺激されたり、いろいろな個性に触れることも大切。学問をするにはやはり大学という場が必要」と語る。

 京都大ではコロナ禍の前から一部の教員がオンライン講義を取り入れてきた。高等教育研究開発推進センター長の飯吉透教授は「その知見を全体に広げるのに準備期間は必要だが、オンラインでも良質な授業は提供できる」とする。京大では5月7日以降にオンラインでの授業開始を予定しており、教員向けに必要なスキルの講習会を行った。インターネットの通信環境を整えるため学生への機器の貸し出しも行うという。

 一方、学生はオンライン授業を初めて受ける人も多く、通常の授業との違いに戸惑いを感じるケースもあるという。同志社大大学院で法律を学ぶ学生(23)は「疑問点はメールで質問できるし内容を理解する分にはおおむね問題ない」と話すが、「配信動画では先生が話すことが多くなるため、話の流れをつかみにくい場合もある」という。加えて心配するのが、オンライン授業を自宅で受けるために要する費用。ウェブで提供される講義資料を印刷するためのプリンターを新たに購入。インク代や通信費も現在自己負担している。「大学のパソコンや機材を使っていた時にはなかった負担が次々に増える。学生全員に何らかの補償ができないのだろうか」と複雑な心境を語った。

 通信環境の整備などのために立命館大や京都産業大、龍谷大は学生に一律3~5万円を給付する。一方で同志社大は返還が必要な貸し付け型支援を設けているが、オンラインに特化した補助はなく、学生支援全体の予算規模も3大学と比べて小さい。