薫風そよぎ、新緑がまぶしい季節-のはずである。

 新型コロナウイルス感染が収まらないため、今年は自宅で巣ごもり生活を続け、自然の息吹に触れられないと残念に思っている人が多いだろう。

 きょうは「みどりの日」。祝日法では「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」とされる。外へ出歩いて親しみにくい分、自然の恩恵について改めて見つめ直す機会としてもいいのではないか。

 注目すべきは、新型コロナという感染症流行と、私たちを取り巻く環境変化との関わりが数多く指摘されていることだ。

 「ウイルスのまん延には、人間による環境破壊が深く関連している」。4月下旬、地球環境を考える日「アースデー」50周年に合わせ、米国の市民団体が催したインターネット会議で各国の専門家が危機感を表した。

 「パリ協定」採択を取りまとめた国連気候変動枠組み条約のフィゲレス前事務局長は「気温が高くなり、雨が増えることで新たな病気のまん延をもたらす」と指摘。米コロンビア大のサックス教授は「最も弱い人々が最もひどい目にあう」として、コロナ禍と環境危機は「多くの共通点がある」と訴えた。

 いまだ新型コロナの発生源や流行要因は詳しく解明されておらず、現時点で気候変動と直接結びつく証拠はない。

 だが、世界の科学者が参加する気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は従来、温暖化でデング熱やマラリアを媒介する蚊の分布域が拡大し、感染症患者が増えると警告してきた。

 人間に感染する可能性があるウイルスは最大60万種ともいわれる。その多くが寄生する野生動物の生息域は温暖化で広がり、接触するリスクが高まる。他方、自然破壊で多くの動植物の絶滅が進んでいる。生物の多様性が損なわれることで、人や家畜が病原体の標的になりやすくなるとの指摘もある。

 感染症拡大と温暖化の相関は無視できず、真摯(しんし)に耳を傾け、現状を省みるべきではないか。

 すでに地球環境の異変が人々の生存と生活を脅かしている状況を私たちは目にしている。

 世界各地を異常気象が襲い、欧州などで熱波が頻発、オーストラリアでは激しい山火事が続いた。アフリカでは干ばつ後の大雨でバッタが大発生し、食料危機を招いた。

 日本も、温暖化で強まるとされる巨大台風や集中豪雨の被害に毎年のように見舞われており、その脅威は現実化している。腰の重い政府の目標を大幅上積みして温室効果ガス削減を進める必要がある。

 新型コロナ対策で経済活動が制限され、世界の温室効果ガス排出量は前年比5・6%減るとの予測もある。外出自粛の物差しとされた「不要不急」の目線で、本当になくてはならない消費やサービス、働き方なのかどうかを見直してみてはどうだろうか。

 身近な森林にも気象災害や生態系の異変が見られる。幅広い恩恵を持続可能な形で引き継げるよう都市住民も目を配り、地元と一緒になって知恵と汗を絞っていく必要があろう。