宿舎近くで練習する北海道チーム。「被災地を勇気づけたい」と都大路に臨む(9日午後4時12分、京都市東山区)=撮影・船越正宏

宿舎近くで練習する北海道チーム。「被災地を勇気づけたい」と都大路に臨む(9日午後4時12分、京都市東山区)=撮影・船越正宏

 京都市内で13日に行われる全国女子駅伝で、昨年9月の北海道胆振東部地震で被災した北海道チームが、特別な思いで都大路を駆ける。最大震度7の激震に襲われ、道内全域が停電する「ブラックアウト」に直面した。「被災地を勇気づけたい」とたすきをつなぐ。

 昨年9月6日午前3時すぎ。札幌市清田区の札幌日大高2年、二階堂夏心(なつみ)さん(17)は激しい揺れに飛び起きた。棚がすべて倒れ、部屋中が散乱していた。外に出ると液状化現象で道路は陥没、倒壊した家屋を目の当たりにした。コンビニには行列ができていた。同区内では震度5強を観測。「北海道で地震なんて考えたこともなかった。本当に怖かった」

 さらに停電に見舞われた。同高3年の佐藤実生(みう)さん(18)が住む札幌市北区は、台風21号で前日から電気が止まり、計4日間停電した。JRは運休し、高校も休校。当初はスマートフォンが不通になって情報が入らず、通信が回復してもSNSで飛び交う余震や断水のうわさに惑わされた。

 真っ先に考えたのは約1カ月後の全国高校駅伝予選のことだった。震災直後から信号が消えた街中を走り、自主練習に励んだ。学校再開とともに部活に復帰したが、給水車に並ぶ行列を見ると、「自分たちはこんな簡単に日常に戻っていいのかな」と葛藤を抱いた。それでも「今できることをやるしかない」と走り続けた。札幌日大高は予選2位に入り、同1位の旭川龍谷高とともに全国大会に出場した。

 二階堂さんの住む地域では、今も壊れた道路や家屋が残り、仮設住宅が建つ。「自分たちの走りで、北海道が頑張っていることを伝えたい」と誓う。

 震度4だった旭川市の旭川龍谷高でも、陸上部の寮が停電した。車のバッテリーを使って明かりをともした。2晩は部員11人が食堂に集まって就寝し、余震の恐怖に耐えた。支援者からパンを差し入れてもらった。同高監督でもある北海道チームの阿部文仁監督(42)は「北海道で苦しんでいる人たちがいる。いつも支えてもらっている地域に恩返しする気持ちで走りたい」と力を込めた。