鴨川で魚をねらうコサギ

鴨川で魚をねらうコサギ

<いきものたちのりくつ 中田兼介>

 いつの世も、他人をだまして得をしようとする人がいます。もちろんこういうことは動物の世界でも見られます。サギは長いくちばしをもち、魚やザリガニなど池や川にすむ小動物を食べて暮らしている鳥のグループで、この中には詐欺的行為でエサをとるところを目撃されている種類がいるのです。

 その中の一種、コサギが魚をだますために使う方法が、長いくちばしの先を水面につけて、短い間隔で開け閉めすることです。くちばしを中心として細かな波が周囲に広がっていきます。すると、「何だろう?」と魚が近づいてきます。水面でこういう波が立っているということは、昆虫が水に落ちてもがいているのかもしれないからです。コサギはそこをパクッといただきます。ごちそうにありつけるかな、と水面に上がってきた魚が、逆にごちそうにされてしまいます。波紋漁法と呼ばれるテクニックです。

 ササゴイもサギ科の鳥ですが、こちらは何か物を水に浮かべて魚をおびき寄せます。まき餌漁法と呼ばれることもあるこの方法、おとりとして、小枝、枯れ葉、草の葉や花といった植物から、発泡スチロールのかけら、あげくはパンの切れ端やトウモロコシ、はたまたミミズや昆虫まで、あらゆる物を浮かべようという勢いです。ミミズや虫なら自分で食べても良さそうですが、「エビでタイを釣れる」ならその方が良いのでしょう。

 波紋漁法やまき餌漁法は頻繁に見られるわけではありません。鴨川では、コサギが片足を震わせているところをよく見かけますが、これは水底からエサを追い出すためで、食べ方としては極めて王道のやりかたです。ちなみに、サギという名前の由来は詐欺とはまったく関係ありません。今回がダジャレ仕立てなのは、ひとえに筆者の責任です。(京都女子大教授)

◆中田兼介 なかた・けんすけ 1967年大阪府生まれ。京都大大学院で博士号取得。著書に「クモのイト」「びっくり!おどろき!動物まるごと大図鑑」など。「図解 なんかへんな生きもの」を監修。