新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言が、あす7日から月末まで25日間延長される。

 政府は特定警戒都道府県について京都を含む現在の13都道府県を維持し、外出自粛や施設の使用制限はこれまでと同様の対策を求める。

 滋賀など34県には行動制限の緩和を打ち出し、感染拡大の防止と社会経済活動の維持との「両立に配慮した取り組み」に段階的に移行するとしている。

 感染者数は減少傾向にあるが収束のスピードは期待されたほどではなく、医療現場の厳しい状況は続いている。延長はやむを得ない。

 だが飲食や観光はじめ事業者への影響は深刻で、倒産や閉店も相次いでいる。「自粛疲れ」が広がり、ストレスから子どもへの虐待を心配する親の相談なども急増しているという。

 国民の不安は消えていない。解消に全力を尽くすべきだ。

 4日会見した安倍晋三首相は「(これからの1カ月は)次なるステップへの準備期間」と述べたが、国民とともに苦難を乗り越えようという姿勢と具体策がもっと必要だ。

 政府は出口戦略の第一歩として、感染抑制地域での行動制限緩和を打ち出した基本的対処方針改定を強調する。

 安倍首相は宣言の解除について「新規の感染者数が回復・退院する人の数を下回る水準まで減らす必要がある」と述べた。

 さらに14日をめどに地域ごとの期限前の宣言解除を検討するとしたが、どういう根拠で判断するかは明らかではない。

 そもそも感染の実態把握につながるPCR検査件数が一向に増えないことに国民の疑問は大きい。専門家会議は4日、保健所や地方衛生研究所に業務が集中し過ぎたことや、検体を運ぶ業者の確保が難しかったことなどを理由に挙げた。

 こうした課題は解消するべきだが、もっと早期に明らかにして取り組むことではなかったのか。この1カ月は何だったのかと言わざるを得ない。

 検査態勢の確立に本腰が入っていなかったと批判されても仕方ないだろう。感染抑止の鍵を握る地方との連携が徹底されていないとの指摘もある。

 延長に際して政府にはこれまでの取り組みを謙虚に検証し、どう改善するのか率直に説明する姿勢が求められる。

 経済がさらに打撃を受けるのは必至だ。緊急経済対策の補正予算はようやく成立したが、追加策や、さらに長丁場を想定した対策を先手先手で備えておかなくてはならない。

 安倍首相は、感染拡大を防ぐため専門家会議が提言した「新しい生活様式」について、今後の国民生活の指針になると訴えた。

 「人との間隔は2メートル」「食事は対面ではなく横並びで」など事細かな具体策が盛り込まれたが、現在の自粛生活で行われていることも多い。自粛の常態化では、ますます閉塞(へいそく)感が募らないか心配だ。

 長期化を覚悟するなら医学や医療だけでなく、経済や文化など幅広い視野で社会の在り方を探る議論が必要ではないか。